路傍にいろいろな草花が咲き出して楽しい毎日です。今回は、花がとても小さくて似た者同士の花を紹介します。
まずは、キュウリグサです。

キュウリグサ
茎や葉を指で揉んでにおいを嗅ぐと、少し青臭くてその名のとおり、キュウリのようなにおいがします。花をアップにすると、中心部分に黄色い縁取りがあります。

ハナイバナ
こちらは花の中心部分に黄色味はありません。
同じような環境に生えているのに、明らかな違いがあります。花が咲くということは、その花を目指して訪れる虫がいるということです。
路傍にいろいろな草花が咲き出して楽しい毎日です。今回は、花がとても小さくて似た者同士の花を紹介します。
まずは、キュウリグサです。
キュウリグサ
茎や葉を指で揉んでにおいを嗅ぐと、少し青臭くてその名のとおり、キュウリのようなにおいがします。花をアップにすると、中心部分に黄色い縁取りがあります。
ハナイバナ
こちらは花の中心部分に黄色味はありません。
同じような環境に生えているのに、明らかな違いがあります。花が咲くということは、その花を目指して訪れる虫がいるということです。
今年はカントウタンポポ(在来種)をはじめとしたタンポポの開花が遅いと、このブログで何度か書きました。4月中旬に入り、開花がぐんぐんと進み、博物館周辺でも地面に黄色が目立つようになってきました。
博物館の駐車場側には雑種(カントウタンポポ×セイヨウタンポポ)が多く、そちらもたくさん咲き出しています。今回は、雑種の総苞(花の受け皿の部分)の形をいくつか紹介します。まずは、カントウタンポポそっくりの雑種です。
識別が難しい雑種タンポポ
これは一見するとカントウタンポポのように総苞がしっかりまとまっていますが、違いは、総苞片の先です。カントウタンポポは、角のような突起があるのが特徴です。
カントウタンポポ 総苞片が見やすいよう、閉じた花の写真です
こちらは、総苞がほぼまとまっているものの、数片の総苞外片(外側の総苞片)が離れています。これも雑種の証です。
惜しい!と言いたくなるような雑種タンポポ
そして、総苞外片のまとまりが悪いこちらも雑種です。
ここまで開いていると、雑種とすぐにわかります
さらに、総苞外片がほぼ開いてしまっているこちらは、一見するとセイヨウタンポポのようなのですが、セイヨウタンポポはもっとはっきりと下へ反り返るので、こちらも雑種です。現在、路傍などで見られるタンポポのほとんどがこのタイプです。
セイヨウタンポポ、と言いたくなりますが、こちらも雑種
そして、典型的なセイヨウタンポポはこちらです。現在、このようなはっきりとしたセイヨウタンポポはあまり見られなくなりました。
こちらが、典型的なセイヨウタンポポ
21世紀に入ったころから、タンポポの世界もだいぶ様変わりしています。これからどのように変化していくのか、興味が尽きません。
(生物担当学芸員)
3月22日のブログでは、神奈川県の天然記念物であるギフチョウの調査の様子をご紹介しました。
先週末には今年2回目の調査が行われ、参加しました。
前回は残念ながらギフチョウを見つけることができませんでしたが、今回の調査では、ごくわずかな数ながら成虫を確認することができました。
ギフチョウを発見!
ギフチョウの翅(はね)の模様を詳しく見ると、そのギフチョウがどの産地のものかが大まかにわかります。
ギフチョウに詳しい調査員さんによると、今回の調査で見つかった個体の翅の模様は、丹沢にもともと生息しているギフチョウの特徴を示しているということでした。
この調査地では、他の地域から人によって故意に持ち込まれたと考えられるギフチョウが見つかった例があるため、今後も注視を続けていきます。
調査中には、この時期に成虫が発生するチョウの一種のミヤマセセリや、マルハナバチによく似た見た目をしたハナアブの一種にも出会うことができました。
ミヤマセセリ
ハナアブの一種
ミツバツツジも綺麗に咲くなかでの、気持ち良い調査でした。
ミツバツツジの花
(動物担当学芸員)
先日、神奈川県立相模原中央支援学校の視覚部門に通う2人の子どもたちが、昔の道具について学ぶために来館されました。
当館には過去に2回、理科の授業で来ていただいており、今回ははじめての社会科になります。
事前に先生から、学校でスチームアイロンを使う機会があったというお話をうかがっていたので、今回は昔のアイロンについて学習することにしました。
用意したのは「火のし、こて」「炭火アイロン」「電気アイロン」です。
左から、火のし、こて、炭火アイロン、電気アイロン
まずは「火のし、こて」を触って、観察してもらいました。
金属の部分と木の部分があることや、重いこと、金属の底の部分がすべすべしていること、多くの気づきがありました。
また、火のついた炭は入れていなかったのですが、「火事のにおいがする」、と鋭い発言も。
「炭火アイロン」はたくさんの穴があることが分かりましたが、なんのための穴かはちょっと難しかったようです。
先生と一緒に、炭火アイロンに触る
また今回は、黒電話の使い方も学習しました。
黒電話
黒電話はアニメにも出てくるので、親近感をもってもらえたようです。
(民俗担当学芸員)
4月9日、市域のカタクリの自生地をめぐり、今年の開花状況を調査しました。いくつかの春の花の開花期が遅れていた一方、カタクリは平年並みの開花で、この日はいずれの自生地もすでにピークを過ぎていました。しかし、きれいに咲いている株もありました。
谷の北向き斜面に咲くカタクリ
上の株を撮影した場所では、撮影しているとヤマビルが靴についてきました。まだ動きは鈍くて吸血されませんでしたが、これから天候によってヤマビル注意のシーズンですね。
カタクリ以外の、早春の花をたくさん観察できました。こちらはヤマエンゴサクです。
ヤマエンゴサク
エイザンスミレ
エイザンスミレ
カントウミヤマカタバミ
カントウミヤマカタバミ
イチリンソウ
イチリンソウ
頭上でさえずりのような鳴き声を聴かせてくれたキセキレイも、夏羽に衣替えしていました。
キセキレイ
花粉の飛散も多く、鼻には負担のかかる調査でしたが、たくさんの花に苦労をねぎらってもらえました。
(生物担当学芸員)
昨年度末に『相模原市立博物館研究報告 第33集』を刊行しました。現在、当館のホームページで公開中です。
『相模原市立博物館研究報告 第33集』
この『研究報告』は当館の定期刊行物で、各分野による調査・研究の成果などを掲載しているものです。『研究報告』というタイトルではありますが、収集資料紹介や、展示の開催結果、ボランティアの活動内容など、前述の調査・研究のみにとらわれず様々な博物館活動について報告しています。
第33集は13のタイトルが寄せられ、大変読み応えのある内容となりました。
2010年以降に刊行したバックナンバーは、すべてホームページで公開しています。『相模原市立博物館研究報告』をぜひご覧ください。
(歴史担当学芸員)
博物館の中庭には様々な植物が植栽されています。その中で、正面入り口側のガラス壁沿いに、こんな植物が伸びてきました。
ヤブレガサの若葉
その名も、ヤブレガサ。若葉が破れた唐傘(からかさ)をすぼめたように見えることから名づけられました。眼玉を付けたら、妖怪“からかさ小僧”になりそうです。先週は、まだ若葉が開く前でこんな形でした。
芽を出したばかりのヤブレガサ
こちらもちょっと妖怪っぽい風貌ですね。
ヤブレガサはキク科の多年草で、丘陵や山地の樹林内で普通に見られます。梅雨のころには大きく伸びて、このようなかわいらしい花が咲きます。
ヤブレガサの花 背景は大きく展開した葉
小さな妖怪のような葉が、数か月で高さ1メートルくらいの植物に育つのも、ある意味“お化け”のようですね。
(生物担当学芸員)
4月7日、市内南区下溝の相模原沈殿池に行ってみました。すでに冬鳥のカモ類などの数は少なくなっていました。そんな中でも、大型のカイツブリの仲間であるカンムリカイツブリが美しい繁殖羽をまとって泳いでいました。
繁殖羽のカンムリカイツブリ
北方で繁殖するため、これから北帰行に旅立つはずですが、繁殖地に着いてすぐに繁殖できるよう、カモ類やカイツブリ類は越冬地でつがい相手を見つけます。このカンムリカイツブリは単独でしたが、どこかでペアになれるでしょうか。
ペアと言えば、ヨシガモがペアで泳いでいました。
ヨシガモのペア オス(左)とメス(右)
こちらはしっかり栄養をつけてから北へ飛び立つのでしょう。
一方、南からやってきたツバメが水面を叩くように水浴びしていました。
水浴びするツバメ
上空を飛ぶツバメは、羽毛をくわえていました。
羽毛をくわえて飛ぶツバメ
沈殿池にはカモ類などの羽毛が水際に打ち寄せられています。これを拾い集めて、巣材にするのでしょう。
春の風景があちらこちらで見られました。
(生物担当学芸員)
4月5日、博物館周辺の樹林地の春を代表する花、フデリンドウが開花しました。場所は、博物館前のバス停と、博物館正面の間の歩道沿いです。
フデリンドウ 今年最初の花の一つ
昨日、歩道脇の同じ場所で咲くカントウタンポポについてこのブログでお知らせした際にはまだ咲いていませんでしたから、正真正銘、今年の一番花です。
しかも、お客様が一番見やすい場所から咲き始めてくれました。といっても、高さ5センチほどの小さな花です。じっくり目を凝らさないと見つかりません。
高さ5センチメートルほどの小さな植物です
まだ株も小さめですが、これから季節が進んで1週間くらいすると、1株に複数の花がつく大き目の株も咲き出すでしょう。広角レンズで、博物館の天体観測室をバックに撮影してみました。
天体観測室をバックに
フデリンドウは、これから2週間くらいが見ごろです。かつて、市域の雑木林の春を彩っていたはずのフデリンドウも、今は市内で見られる場所が限られています。博物館へお越しの際には、ぜひ探して見てください。
(生物担当学芸員)
遺跡を身近なものとして実感してもらうために、博物館はどのように取り組むべきでしょうか。日々なんとなく思案しており、土器を見たり石器を眺めたり、遺跡の現地や河原を歩いています。
考古学の視点では「現地・現物」を重視します。
すなわち、住まい(遺構)や当時の人が作成・使用した土器など(遺物)です。
橋本遺跡出土の縄文土器
一方、博物館への来館者を考えると、専門の研究者はかなり少なく大半が一般の方です。一般の方には、説明が乏しいと資料の重要性を把握しにくい場合があります。
かといって長々とした解説文は要領を得ないもので、情報量が多ければ多いほど、来館者の興味関心はみるみるうちに削がれます。
何を、どのようにしたら良いのでしょうか??
あまり難しく考えずに、実際に触ってもらおうと考えました。
名称は固くなく、一息で表現できるもの……「土器×2(どきどき)タッチ」としました。
「タッチ」はタッチパネルから援用しました。これだと小さい子から年配の方まで直感で分かるのでは。
当館収蔵庫にある土器から選定し、月1回程度2時間とし、令和5年の6月から
考古担当学芸員や博物館ボランティアの相模原縄文研究会と一緒にやってみました。
縄文土器(約5,000年前)
縄文時代の石器と平安時代の土師器(はじき)と須恵器(すえき)
令和5年度は全7回で、合計758名、令和6年度は全17回で合計2,000名近い参加者があり、一番多い日には257名の方が参加されました。
土器×2タッチの効果はどのようなものか、考えてみました。
・実際に触ることで、重さや質感、匂いなど直感で分かり、細かな文様にも気づきやすい。
・博物館のエントランスで、本物の土器を触ることで、地域の歴史の一端を体感できる。
さらには…
当館で土器を触った経験から、他館や他市の遺跡に関する展示、イベントにも興味をもってもらえるかもしれません。
また、小学校のお子さんや、中・高校生は、この経験から考古学を志すかもしれません。
なにげない「タッチ」ですが、遺跡への関心を高める取り組みとして重要視し、今後も継続していきます。
あまり肩肘張らず、何気なく手に取って実物をみる。遺跡を知るキッカケはそれぐらい気軽なものとして考えています。
今年度の実施予定を現在計画中ですので、詳細が決まり次第当館HPや、職員ブログでお知らせいたします。
(考古担当学芸員)