繭うさぎづくりを実施しました!

2月1日(日)、当館地階の大会議室はたくさんのお子さまやそのご家族で賑わっていました。先日のブログでもお知らせしたとおり、「繭うさぎづくり」のイベントに参加いただいた皆さまです。

見本を確認しながら、切り取ったパーツを組み合わせます。

この日は初めて繭うさぎづくりに挑戦する参加者も多かったようですが、市民学芸員の指導のもと、それぞれ力作を完成させていました。定例ミーティング終会後に繭うさぎづくりを練習した成果が存分に発揮されています。

どのテーブルでもほぼマンツーマンで市民学芸員による指導を受けられます。

カッターを使用したり、少し難しかったりする部分は大人がサポートしつつ、塗る色や顔のパーツの配置などを工夫して、思い思いのかわいらしい繭うさぎが出来上がっていきます。

黄色いお耳がかわいい!

お持ち帰り用の袋までかわいくデコレーションしてくれました!

また、会場内では「カイコの一生」のパネル展示を行い、材料の繭がどのように作られているのかを写真とともに紹介しました。今回の繭も昨年初夏に当館で飼育したカイコが作り出したもので、卵をふ化させるところから生物担当学芸員がお世話をしました。飼育の様子はこのブログでご覧いただけます。( ※繭ができる様子は⑧・⑨で紹介しています。)

「カイコの一生」パネル展

今では市域に養蚕農家が残っておらず、あまり馴染みないのない方もいるかもしれませんが、江戸時代以降の相模原では養蚕がさかんに行われていました。
イベントをとおして相模原とカイコとのつながりやカイコのライフサイクルを知り、地域のことに興味を持っていただけると嬉しく思います。

(歴史担当学芸員)

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残るヤドリギの果実

先日、市内南区の川沿いに立つケヤキに着生した、大きなヤドリギの株を見ました。ヤドリギは自ら光合成も行いますが、こうして大木の枝と根元を融合させ、水分や養分を吸収する「半寄生植物」です。

ヤドリギの大きな株

写真を拡大してみると、まだ果実がたくさんついていました。「まだ」というのも、例年、この時期には果実がヒレンジャクという野鳥に食べられてほとんどなくなるです。

ヤドリギの果実を食べるヒレンジャク 2020年撮影

ヒレンジャクは関東地方では年によって飛来数が大きく異なり、より北の地方の雪や食料の状況によって(つまり、北方の食料事情が良いと)、まったく飛来しない年もあるのです。今年はまだ近隣の地域からヒレンジャクの情報が聞かれません。ここ数年はヒレンジャクの当たり年が続いていたのですが、今年はどうでしょうか。
ヒレンジャクを含むレンジャク類とヤドリギは、じつは深い関係があります。ヤドリギの果実はこのように明るい色をした美しい果実です。

ヤドリギの果実

この果実をつぶしてみると・・

粘り気のある果肉

果肉に強い粘り気があります。
レンジャク類はこのヤドリギの果実を食べると、納豆のような粘り気のあるフンをします。そのフンに交じった種子が枝に粘着し、芽生えて新たにヤドリギの株を増やしていくという生態です。

納豆のような粘り気のあるフンをするヒレンジャク 2020年撮影

ヤドリギの果実は、レンジャク類以外ではヒヨドリが少し食べる程度で、他の鳥にはあまり好まれません。今年はヤドリギもちょっと寂しそうです。果たしてこれからやってくるのか、バードウォッチャーも少し気をもんでいます。
(生物担当学芸員)

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さがホネ団の遠足採集会

少し前のことですが、1月15日、博物館の動物標本作成グループの「さがみホネホネ団」(さがホネ団)の遠足採集会へ行きました。行先は、茨城県神栖市の波崎海岸です。外洋の鹿島灘に面した海岸には、様々な漂着物が打ち上げられます。海の無い相模原市では得られない資料が採集できるので、時々遠征しています。

広くて長い海岸を半日ほど歩き回りました

内陸では見られない、シロチドリもちょこちょこと歩き回っていました。

シロチドリ

そして冬の波崎への遠征で楽しみなのは、ミユビシギの群に会うことです。

ミユビシギの群

波打ち際を、波の出入りに合わせて高速で歩きながら採食します。動画で撮影してみたので、お楽しみください。

さがホネ団のみなさんがそれぞれ採集した資料は、標本化して「学びの収穫祭」などでご披露することになります。どうぞお楽しみに。
(生物担当学芸員)

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近・現代史講演会を開催します。【2月9日午後】

当館では尾崎行雄に関連する人物などをテーマに、毎年「近・現代史講演会」を開催しています。

今年は「高峰譲吉博士」がテーマです。
現在、アメリカのワシントン、ポトマック湖畔には桜が咲いています。
この桜は尾崎行雄が東京市長を務めていたころ、アメリカからの依頼に応えたもので、日米親善の象徴でもあります。
この依頼には当時アメリカに滞在していた高峰譲吉博士の協力がありました。

高峰譲吉博士(1854~1922)は化学者及び実業家であり、アドレナリンの発見者です。
若いころは農務省に勤め、日本初の人造肥料会社を設立しました。
そしてアメリカに拠点を移し、消化酵素であるタカジアスターゼの発明、
アドレナリンの発見など、大きな業績を残します。その後、日米親善に尽力されました。

高峰譲吉博士(高峰譲吉博士研究会 提供)

今回は講師に高峰譲吉博士研究会の理事長である清水昌(さかゆ)さんをお招きし、高峰譲吉博士についてご講演をいただきます。

開催日は2月9日(日)、午後1時30分から当館大会議室にて行います。
入場無料・申込不要です。参加ご希望の方は当日、会場までお越しください。

尾崎幸雄の桜に関するエピソードを知ることができる機会ですので、ぜひご参加ください!

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じっくり見る探鳥会

1月26日、市内のある公園で探鳥会のお手伝いをしてきました。野鳥をできるだけ全員でじっくり見られるように実施時間に対してコースを短めに設定しました。
果たして今回は、いくつかの種類を全員で観察することができました。まず、歩き始めて目の前15メートルほどのところで10分くらい姿を見せてくれたのは、モズです。

最初に堂々と姿を見せてくれたモズ

見やすい枯れ枝にとまって下を注視しています。時々地上に下りては何かをつまんで食べていました。
続いてエナガです。茂みの中でしたが、群がしばらく私たちの目の前を動き回ってくれて、そのかわいい姿を堪能しました。

エナガを全員が間近で見ることができました

終盤になり、ジョウビタキのオスを全員で観察していたのですが、参加者の一人が「トラツグミってここにもいますか?」と尋ねてこられました。えっ!と驚きつつ確認すると、なんと樹林の中にいました。どこにいるかわかりますか?

この画面の中にトラツグミがいますが・・

答えは赤丸の中です。よく見つけてくれたものです。その方はトラツグミを見るのが今年の目標の一つだということで、探していたそうです。

答えは、赤丸の中です

背景が暗めに抜けるとわかりますが、落ち葉の上にいるとほんとうにすごい保護色でわかりにくいですね。

トラツグミも全員で観察できました

観察した野鳥の種数は12種と少なかったのですが、全員で観察した内容がとても充実していて、大満足の探鳥会になりました。
(生物担当学芸員)

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【1/31まで】「学びの収穫祭」展示発表、今週がラストチャンスです!

昨年の11月23・24日に、日頃から当館を拠点活動とするボランティアグループや、当館学芸員が活動に関わる学校の部活動、大学の研究室などが活動内容や研究成果を発表する秋の祭典・「学びの収穫祭」を実施しました。大変盛り上がった23日の口頭発表会と展示発表のコアタイム、24日のワークショップと学芸員講演会の様子をこのブログでも紹介しましたので、よろしければ次のリンクからご覧ください。(1日目2日目

この2日間だけではなかなか見終えることができないため、展示発表については「学びの収穫祭」以降しばらく掲示していますが、本年度も好評につき延長していた展示期間も、いよいよ今週31日(金)が最終日となります。

情報サービスコーナー前の様子

自然・歴史展示室入口付近

令和6年度の「学びの収穫祭」展示発表では、33の団体や個人の方にご参加いただきました!特定の分野や似通ったテーマで区切らず、様々な発表内容が隣り合って入り交ざり、まさにお祭り状態の楽しい発表会です。

まだご覧になっていない方、もう一度ご覧になりたい方、ぜひ31日(金)までにお越しください!

※館内事業の都合により、一部掲示場所が移動している展示発表がございます。

(歴史担当学芸員)

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ひさしぶりの野外植物調査

1月24日、相模原植物調査会(博物館の植物専門ボランティアグループ)のみなさんと市内緑区の緑地へ植物調査に出かけました。尾根筋にヒノキ林が広がる樹林を歩きました。

ヒノキ林の中を歩きました

このところ、植物の野外調査会があまりできずにいたので、調査会のみなさんも久しぶりの調査がとても楽しそうです。

調査中のみなさん

真冬の季節ですが、よくよく見ると赤い果実をつけたヤブコウジや・・

ヤブコウジ

クサボタンの綿毛と果実も残っていました。

クサボタン

こちらはカシワバハグマです。

カシワバハグマ

ロウソクの火が灯っているようなタブノキの冬芽です。

タブノキ

来月くらいから、早春の花が咲き出します。季節に乗り遅れないよう。またこうした野外調査に出たいと思います。
(生物担当学芸員)

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早くも巣材集めを始めるエナガ

1月23日、市内緑区の相模川の河原を歩いていると、エナガに出会いました。

エナガ

ほぼ一年中、群れ生活をする鳥ですが、この時はあまり地鳴きもせず、静かに飛び回っています。それもそのはずで、2羽だけで行動していました。ということは・・この2羽はすでにつがいになっているということです。そして、なんとなく忙しそう。動き回る様子をしばらく見ていると、木の枝の股に頭をつっこんで何かしています。

かわいいお尻を見せて何をしているのでしょうか?

なにやらもじゃもじゃしたものを嘴にくわえていました。

口に何か繊維質のものをくわえています

また、しばらく歩いて別の場所でもエナガのつがいに出会いました。こちらも、くちばしには白い綿のようなものが・・。

こちらも綿のようなものをくわえています

これらは巣材に使うのでしょう。エナガの繁殖期は早く、1月下旬からこうして巣材を集めていきます。コケや地衣(ちい)類などをクモの糸や昆虫の繭(まゆ)でからめて外壁を作るのです。そうしてソフトボールくらいの大きさの巣を作り、内部にはたくさんの羽毛(猛禽類の食べ痕などから拾い集めます)を入れて、10羽以上のヒナを育てます。

同じ日に、トラツグミが猛禽類に襲われたと考えられる食べ痕を見つけました これも巣材になるかな?

周辺では、まだ10羽近くの群になっているエナガもいました。こちらは昨年生まれの若い個体の群でしょうか。彼らもそのうち、つがいになったり、子育て中のつがいのお手伝い(ヘルパー)をしたりするのでしょう。
エナガを観察していたら、フィッと声がしました。ベニマシコです。

ベニマシコ(メス)

名前の由来となる紅色のオスはヤブの中からなかなか出てきてくれませんでしたが、なんとか顔は撮影できました。

ベニマシコ(オス)

冬越しの野鳥もいれば、繁殖期に入った野鳥もいて、河原はにぎやかです。
(生物担当学芸員)

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令和7年、市民学芸員活動初め【お知らせあり】

1月22日(水)、令和7年に入ってから初の市民学芸員全体ミーティングを実施しました。
市民学芸員全体ミーティングとは、当館の博物館ボランティア「市民学芸員」が一堂に会し、全体に関わる打ち合わせや各チーム活動の進捗状況などを報告し合う重要な月例ミーティングです。年度初めに実施した回の様子をこのブログでも取り上げましたので、詳しくはこちらをご覧ください。

新年初回とあり、多くの方が出席しました。

今後予定しているイベントや展示についての数々の議題を検討し、この日も議論が煮詰まったところで、終会後、皆さんが何やら熱心に作業を始めました。

手に持っているのは、繭…?

手元の様子をうかがってみると、カッターで繭を切っているようです。そして、繭本体に切り込みを入れ、パーツを差し込んで出来上がったものは…、長い耳と小さな尻尾がかわいい繭うさぎです!

繭うさぎが出来ました!

今月号のイベントニュースでもお知らせしたとおり、2月1日(土)に以下のとおり「繭うさぎづくり」のイベントを行います。

日時:令和7年2月1日(土) 午前11時~午後3時
会場:当館地階 大会議室
定員:200人 ※申し込み不要、先着順
内容:蚕の繭から、かわいいうさぎを模した繭うさぎを作ってみましょう。市民学芸員が作り方をやさしくお教えしますので、小さなお子さまからご参加いただけます(小学生未満は要保護者同伴)。作った繭うさぎはお持ち帰りできます。

初めて参加される方にもわかりやすく指導できるよう、イベントに向けて市民学芸員の皆さんが練習をしていたというわけです。この練習の成果を存分に発揮してくれることでしょう。
「繭うさぎづくり」は、どなたも無料でご参加いただけます!なお、作業にはカッターを使用するため、小学生未満のお子さまは保護者の方も同伴いただけますようお願いいたします。

この「繭うさぎづくり」には、相模原市域でさかんだった養蚕の一端を、イベントをとおして知っていただく意味も込められています。
また、イベントで使用する繭は、当館で初夏に育てたカイコが作ったものです。生物担当学芸員が飼育の様子をブログで紹介していますので、ご興味がある方はご覧ください。( ※繭ができる様子は⑧・⑨で紹介しています。)

当日作った繭うさぎはお持ち帰りいただけます。ぜひお家に帰ってからもご自身の力作を眺めてみてください。たくさんのご参加、心よりお待ちしております!

(歴史担当学芸員)

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クヌギの伐採 その2

昨年2月に、博物館前庭のクヌギの、根元から枝分かれしたうちの北側の1本を伐採しました。その様子はこちらのブログに書いています。その中でも触れていますが、年輪を数えると、クヌギとしては老齢木と言える75年以上の樹齢であることがわかりました。またここ数年、根元に「枯れ始めているサイン」であるナラタケの大量発生があり、昨年秋にもやはり残った根元にナラタケが発生していました。

根元にナラタケが生えています

大量発生したナラタケ

木全体が不健康な状態にあることが推測されたため、南側に残っていた1本も伐採することになり、1月20日に実施されました。

2025年1月21日 伐採後の様子

上の写真は本日、1月21日に撮影したものですが、段階を追って写真を並べてみます。まずは伐採前の2023年12月の写真です。

2023年12月

こちらは、北側を伐採した2024年2月です。

2024年2月の伐採後

そして正面から2023年12月初旬の様子です。

2023年12月

こちらは本日、2025年1月21日の正面からの写真です。

2025年1月21日

年輪を数えてみると、やはり70年~80年の間であることがわかりましたが、不明瞭な部分が多くてはっきりはわかりませんでした。

伐採後の切り株

大きな木が伐られるとちょっと寂しい気分になりますが、木にも寿命があります。クヌギは本来、明るい場所で早く成長し、長命な木ではありません。適正に伐採していかないと落枝や倒伏の可能性が高まり、大変危険な状態になります。時間はかかりますが、また別の木が成長して緑を回復してくれるのを気長に待ちたいと思います。
(生物担当学芸員)

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