生きものミニサロン「自然の素材だけでクリスマスリースを作ろう!」を実施しました

毎月恒例の生きものミニサロン、12月はさらに毎年の恒例となっている「自然の素材だけでクリスマスリースを作ろう!」を13日(土)に実施しました。
今回も、リースの台となる植物の“つる”は、前日までにお隣の樹林地からクズのつるを学芸員が採集し、相模原植物調査会のみなさんがデコレーション用の植物素材を集めてくれました。当日はまず、素材をきれいに仕分けます。

植物調査会のみなさんを中心にたくさんの素材を集めてくれました!それをさらに、使いやすいように切り分けます

それぞれの素材の植物名の札も付けました!

これで半分! 30種類以上の素材が並びました

簡単な説明の後、参加者約50名のみなさんがリース作りを始めます。まず、リースの台を丸く編みます。そして、いよいよ素材をデコレーション。

真剣に配置を考えています

今回は、マンリョウ、センリョウ、ノイバラ、ピラカンサなどの赤い果実や、オオバジャノヒゲの青い果実、キミノセンリョウやヘクソカズラの黄色い果実、さらにはオオウバユリやケヤマハンノキ、ヒマラヤスギなどおもしろい形の果実や松ぼっくりに、ヒイラギ、キヅタ、イタビカズラなど緑の葉が並びました。その数30種類以上!さすが、市内外の植物の生育場所を熟知した植物調査会のみなさんの収集力です。
どれも使いたいと迷いつつ、選びます。

迷うほどたくさんの素材が・・

ふだん見慣れた葉や果実も、飾り付けるとびっくりするくらい引き立ちます。

特別な素材や、色など後から付けたものはありません

すばらしい作品をそれぞれ作ってくれました。

お父さんと作品とポーズ!

どれ一つとして同じものがない、オリジナルのリースです。

じゃーん!!と仲良し姉妹

こんな渋いリースを完成させてくれた子も!

イタビカズラの葉オンリーがいいと渋いチョイス!

最後に全員で記念写真!

たくさんのリースができました!

外での実施はちょっと寒いかな?と心配しましたが、みなさんの熱気で寒さも吹き飛んでしまいました。
次回は1月18日(土)12時から実施予定です。お楽しみに!
(生物担当学芸員)

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海岸で資料採集

12月10日、博物館を拠点に活動する市民グループである「さがみホネホネ団」(通称さがホネ団)の有志で、茨城県の海岸へ資料採集に行きました。さがホネ団は、博物館の冷凍庫に眠る動物の検体を標本化する活動をしていますが、時々こうして“遠征”します。今回向かった海岸は外洋の鹿島灘に面しています。

鹿島灘に面した海岸線

相模湾の海岸とは、風景も波の様子も、そしてそこで採集できる資料もまったく異なります。

いろいろな生物資料を採集

資料を採集しつつ、海岸の野鳥も観察しました。相模原市内ではまず見ることのできない、シロチドリです。

シロチドリ

そして、この海岸の定番、ミユビシギです。波打ち際を高速歩行で歩きながら採食する様子が、「高速とおりゃんせ」などと言われ、バードウォッチャーに人気のシーンです。

ミユビシギ

動画を撮影したので、ご覧ください。

こちらは県内にも多いウミネコの若鳥ですが・・追いかけっこしていたのは、左の個体がくわえているハマグリのためでしょう。

ウミネコの若鳥

浜にはヤシの実や、サキシマスオウの実も漂着していました。どちらも南方の植物です。改めて海が遠い地とつながっていることを感じました。
(生物担当学芸員)

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博物館見学実習

12月6日、桜美林大学で学芸員資格取得を目指して勉強中の学生さんが、当館で見学実習を行いました。
午前中はバックヤードなどの見学です。

まずは、多目的室の改修についての説明から…

専門的な学習をしている学生さん向けなので、ややマニアックな解説を交えつつ見学してもらいました。

大型収蔵庫の収蔵資料解説

午後は展示室見学で、先生の解説のもと常設展示を一周しました。

展示についての解説を聞きます

じつは今回の見学実習は、当館で学芸員として勤務されていたご経歴を持つ先生の引率により実施しています。
そのため、収蔵庫の様々な資料や常設展示における展示の意図、設計について私(動物担当学芸員)の知らないお話をたくさん聞くことができ、学生さんと同様に学びの深い一日でした。
(動物担当学芸員)

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【市民学芸員かわら版】津久井地域の日本固有種(動物)

12月2日(火)、当館のボランティア「市民学芸員」情報発信チームによる『市民学芸員かわら版』の最新第19号が発行されました。題して、「津久井地域の日本固有種(動物)」です。

『市民学芸員かわら版』とは、テーマ選定から情報収集、記事のレイアウトまで全て市民学芸員が行い、自然・歴史・文化に関する様々なトピックスについて、市民目線を取り入れながらわかりやすく紹介している不定期刊行の壁新聞です。

今回の『市民学芸員かわら版』は津久井地域の日本固有種の哺乳類を、市民学芸員による写真を添えて紹介しています。

動物たちの豊富な写真や冬はどのようにすごしているのか、わかりやすく解説しています!


ご来館の際は、2階市民研究室前の『市民学芸員かわら版』をチェックしてみてください。
※特別企画展「ポケモン天文台」の開催に伴い、設置場所を2階市民研究室前に変更しています。

(考古担当学芸員)

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勝坂遺跡縄文まつりで土器×2タッチ!

一か月前になりますが、11月3日(月・祝)に、市内南区磯部の勝坂遺跡公園にて、勝坂遺跡縄文まつりが開催されました。
その一環として、当館の考古ボランティアとともに土器×2タッチを行いました。

会場は勝坂遺跡公園管理棟です。

左:勝坂南方遺跡出土、右:田名坊山遺跡出土 どちらも勝坂式土器です

今回は勝坂遺跡が会場のなので完形土器を2点追加しました。
午前10時から午後1時までの時間でしたが、合計380名近くの方が参加してくれました。

家族連れが大半で、幼い子たちも縄文土器を興味深そうにさわってくれました。
高校生からは学芸員のお仕事について質問を受け、遺跡の重要性を遺跡現地や出土品の特徴を端的にお知らせする楽しさをお答えしました。

地域の貴重な歴史を出土品からお伝えする貴重な機会となり、今後も継続的に取り組んでいきます。
なお、次回の土器×2タッチは1月24日(土)に博物館エントランスにて行います。
ぜひご参加ください。

(考古担当学芸員)

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神奈川県博物館協会の研修会を実施

12月5日午後、神奈川県博物館協会(県博協)の研修会を当館で実施しました。県博協とは、県内の博物館、美術館、水族館、動物園、植物園、科学館など100以上の施設が加盟する団体です。学芸員や施設職員が定期的に研修会などを実施し、交流や情報交換を行っています。今回は、7月にリニューアルオープンした当館のプラネタリウムについての研修会です。まずはプラネタリウム内で、リニューアルした機器や設備、性能などについて天文担当学芸員から解説しました。

プラネタリウム内でレクチャー

レクチャー終了後には、多目的室など新しい施設への注目が集まります。

プラネタリウム内の多目的室(遮音室)から

科学館からの参加者も多いため、プラネタリウムのコンソール(操作卓)にもみなさん興味津々です。

真新しいコンソールにも注目が

プラネタリウムの一般投影を観覧していただいた後、大会議室へ移動して、同じく天文担当学芸員からリニューアルへ至る経過を説明しました。

予算のことや庁内外との折衝など現場の話が語られました

庁内外での様々な調整や予算確保、施工に至る過程などを説明しました。
施設のリニューアルは、どこも遠からず大きな課題となることなので、みなさんとても熱心に聴講されていました。
こうした研修会を通じて県内の博物館等の施設職員が交流し、時には展示資料の貸し借りなどにつながるため、当館学芸員も積極的に参加するようにしています。
(生物担当学芸員)

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博物館で科学コミュニケーションの実習

12月4日、桜美林大学教育探究科学群3年生約60名が博物館で実習を行いました。科目は「科学コミュニケーション論」です。
まず、学芸員から博物館周辺の樹林地の成り立ちと、そこに生息する哺乳類について講義を受けました。

学芸員による講義

そして、その哺乳類の剥製(はくせい)を観察してスケッチをします。短い時間の中で足や顔などのパーツを選び、2種類以上スケッチして比較します。

科学的なスケッチとは・・意識しながら描きます

他の種の剥製の写真と比較しながらスケッチしています

スケッチの結果を各班内でディスカッションします。科学的な観察は、客観的な視点が重要です。頭の中やネット上に存在する情報ではなく、目の前の剥製に集中して観察した結果を話し合うことが狙いです。

ディスカッションもみなさん積極的です

その概要をそれぞれの班から発表してもらいました。どの班のみなさんも自主的に発表してくれて、しっかりと科学コミュニケーションできていることがわかりました。
そして後半は、博物館の常設展示室を見学し、展示の意図や狙いを推察しながら、それを的確に来館者へ伝えるために改善すべき点などを見出す実習です。ここでは批評する視点が重要です。

常設展示室で、展示だけでなく一般来館者の動きなども観察

五感を使って観覧中

各グループでそれをまとめてレポートしてもらいました。すべての班が発表する時間はありませんでしたが、みなさん真剣に展示を見て考えてくれたことがよくわかる結果で、博物館としても大変参考になりました。すべてのレポートを共有していただけることになっているので、これは今後の展示を考えていく上でとても参考になりそうです。

みなさん集中していてあっという間の3時間でした

半日みっちりと密度の濃い実習でしたが、学生さんたちの、明るく前向きな雰囲気がとても印象的でした。
(生物担当学芸員)

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テイカカズラ

博物館お隣の樹林地で、あずき色の細長い鞘(さや)がぶら下がっているのに気づきました。

テイカカズラの鞘果

これは、テイカカズラの鞘果(さやか)です。すでに割れて中身の果実が見えています。

割れて中身が出かかっています

取り出してみました。いかにも風に乗りそうな見事な冠毛です。

テイカカズラの果実と冠毛

テイカカズラは春から夏にかけて花を咲かせるつる性の樹木で、花は風車を思わせるかわいらしい花です。

テイカカズラの花(初夏に撮影)

果実も繊細で美しいのですが・・じつは、盛大に育つとなかなか恐ろしい姿になります。木が弱って枝ぶりが悪くなってくると、日照を感じてか、急につるを伸ばして木を覆いつくしてしまいます。下の写真は、鞘果を撮影したすぐそばで茂っていたテイカカズラのつるで、一昨年の様子です。

テイカカズラに覆われたミズキ すでにミズキの枝が見えなくなっています

枯れかけたミズキにとりつき、おばけのような状態になってしまいました。昨年、このミズキは重さに耐えかねて途中で折れてしまったのです。
つる植物は、チャンスがあれば上へ上へと伸びていき、たとえ台になっている植物が枯れたり、もとろも倒れたりしても、その一時に大繁殖できればよいという戦略です。なんとも刹那的ですね。
(生物担当学芸員)

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友の会サミット2025に参加しました!

大阪市立自然史博物館において「友の会サミット2025 博物館コミュニティの未来を考える」が11月29日~30日に行われ、当館学芸員が参加・発表しました。このサミットは、認定NPO法人大阪自然史センターが主催し、10年ごとに開催され、今回が3回目となります。

ポスター発表会場

全国の博物館の友の会やそれに類する組織のみなさんや、博物館学芸員など2日間でのべ約250人(オンラインを含む)、46団体が参加し、事例紹介や情報交換を行いました。基調講演では、美術館におけるアートコミュニケーションの現場から、コミュニケーターの養成課程や、そうした活動がICOM(国際博物館会議)が2022年にまとめた「博物館の定義」に呼応したものであることなどが紹介されました。

基調講演後のディスカッション

当館は友の会組織はありません。しかし、多数の市民グループが博物館の専門領域のすべてに参画していることを考えると、組織の形態に関わらず同様の活動が行われていると言えます。その全体像についてポスターで発表するとともに、その中の「さがみホネホネ団」の成り立ちなどについて口頭で紹介しました。

当館のポスター発表

分科会では、運営形態や世代交代の課題と事例紹介、ユニークな活動事例やグッズ開発の事例などの情報交換が行われました。全国の博物館関係者が集まる会議は毎年開催されていますが、博物館コミュニティと言える、友の会などのコアユーザーが集う機会は多くありません。参加者のみなさんが口々に、次は10年待てないとおっしゃっていたことが、充実した有意義なイベントだったことを物語っています。
(生物担当学芸員)

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晩秋の小倉山

11月27日、市内の希少な植生の状況を調査するため、相模原市の文化財審議会委員の方と、相模原植物調査会有志で緑区の小倉山へ入りました。
晩秋の山と言えば、この花。コウヤボウキです。

コウヤボウキの花

すでに紅葉は終盤でしたが、イタヤカエデの見事な紅葉が林内のあちらこちらで見られました。

イタヤカエデの紅葉

小倉山は、コンクリートの骨材を採取するため、現在、山頂を含む北側斜面全体が掘削されています。山頂も消失しているため、登山道は途中で立入りができなくなっています。入れる登山道の、元山頂があった場所に一番近い場所に、だれが置いてくれたのか、山名の書かれたかわいい石標がありました。

山名の書かれたかわいい石標

目指すは、この地域では珍しいスダジイ林です。西日本の暖地に多い植生ですが、なぜか小倉山には尾根筋にスダジイ林が残っています。アップダウンの多い道を進み、スダジイやタブノキ、イズセンリョウなど暖地性の樹木の多い林内を歩きました。

アップダウンの多い山道でした

もうひとつ、暖地性のシダ植物であるホソバカナワラビも大群落を作っています。

ホソバカナワラビ

10年ほど前に、相模原植物調査会でこの樹林を詳細に調査しましたが、ほぼ、それ以来の訪問でした。枯死した樹木があったり、若齢木の背が伸びていたりと変化は見られたものの、スダジイ林がそこにあって安心しました。
ところで、帰りに林道から少し入ったところで、同行のお一人が思わぬ植物を発見しました。リンボクです。

リンボク

相模原市内では初めての確認であるだけでなく、県内では現在、県西部の湯河原にしか自生地が確認されていない希少な植物です。
幼植物もたくさん芽生えていたので、こちらも引き続き注目していこうと思います。
(生物担当学芸員)

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