新年のお知らせも落ち着いてきたところで、今年の干支であるイヌ(戌)にちなんだ写真をご紹介します。
イヌは人間にとって最も身近で親密な哺乳類と言えます。ところが、植物の名前に含まれるイヌとは「有用な植物に似ているけれど、役に立たない方の」という意味になります。そんなとっても理不尽な命名をされた植物をまずご紹介します。
イヌドクサです。
やすりとして実際に使われたトクサ(砥草)と比べてザラザラ感が無いからでしょうか。スギナ(ツクシ)に近い仲間のシダ植物です。
こちらはイヌザンショウ。
サンショウのように強い芳香が無いということでしょう。
続いてイヌナズナです。
かわいらしい黄色い花で、いわゆるペンペン草のナズナに対して、食用にならないという意味ですが、特に毒があるわけではありません。また、市街地ではナズナよりもずっと珍しい里の在来植物です。
こちらはイヌザクラです。
年季の入った幹には目のような模様が入るのが特徴です。サクラと比べて確かにちょっと地味な咲き方はしますが、美しい花です。
こちらはいわゆるアカマンマですが、図鑑で使われる和名はイヌタデです。
ヤナギタデという香味料に使われた種類に対して辛味が少ないからということだそうです。
こちらはイヌブナです。このあたりから、なぜイヌなのか怪しくなります。
ブナはそもそも漢字で書くと「橅」です。建築用材にならない大木だからなのでしょうが、そこへさらにイヌブナとは・・しかし、新緑の美しさは抜群です。
こちらはイトイヌノヒゲです。
こちらは県内では極めて数が少なくなってしまった絶滅危惧植物です。この「イヌ」は糸のように細い葉の形を形容したものなので、意味は違いますね。
こちらもおなじみ、オオイヌノフグリです。
こちらも形状からきています。よく似たイヌノフグリという植物の果実がイヌのふぐり(陰嚢)に似ているからとの命名ですが・・こんなに可憐な花に、なにもそんな名前をつけなくても・・と思います。
まだまだイヌと名の付く植物はたくさんありますが、きりがないので動物で締めくくります。博物館周辺に生息する野生のイヌ科動物と言えばこちら、タヌキです。
博物館裏の樹林地に、少なくとも2頭が住んでいます。調査用にしかけてあるセンサーカメラにもよく登場してくれるので、今度、その映像も公開したいと思っています。