本日(13日)からボランティアの市民調査員も参加して、発掘調査が本格化しました。この日は、10名が参加し、午前中は機材搬入をして、現場での調査準備にとりかかりました。午後からは、皆さんに今回の調査の目的や状況を説明して、共通理解・共通認識のもとにみんなで意見を出し合いながら調査していくことをお話ししました。
表土掘削は12日までに終わらせていたので、まずは中世末~近世前期頃の第1地業面(じぎょうめん)での遺構確認です。地面を人為的に掘り込んだ痕跡がないか、ジョレンで地中をきれいに削っていく作業です。
ゆっくり削っていくと、ポロッと遺物が出土しました。遺物が出たらすぐに取り上げずに、出土場所の記録をとるので、竹串を刺して残します。
表土中からは、江戸時代の煙管(きせる)のほか、戦国時代の素焼きの土器「かわらけ」の小片も出土しています。
煙管は金属製の吸い口部分が出土しました。真鍮(しんちゅう)製でしょうか。江戸時代の18世紀後半以降のものと思われます。調査地点の里山広場は、江戸時代は畑として使われていますので、農民の方が落としたものでしょうか?
かわらけは割れた小片で、元の大きさもお猪口サイズの小型品でした。戦国時代の遺物で、これからの調査に期待がもてます。
さて、ボランティアの皆さんが参加した調査の初日ですが、本日の調査は少し早めに切り上げて、公園の畑に植えたエゴマの収穫作業を行いました。5月26日に種蒔きして高さ1m程に成長したエゴマです。根っこごと引き抜きます。
エゴマはシソの仲間ですので、シソの香りが漂いました。次に根元を切り落とします。
エゴマを束ねます。
竿にかけて天日干しにします。
エゴマの実が落ちてなくならないよう、ネットを下にかけ、雨に濡れないように上にビニールを被せます。
発掘調査が終了する頃までの2週間ほど乾燥させたら、脱穀です。
津久井城のこれまでの発掘調査では、灯明皿が多く出土しています。その灯油として使われていた可能性が高いのがエゴマです。収穫したエゴマの実から油を絞りとり、来年にはボランティアの皆さんと灯明皿の実験考古学をしようと目論んでいます。