乾燥標本になってしまったジョロウグモ

以前、このブログで「ジョロウグモは年を越して2月頃まで生きている事がある」と紹介した事がありますが、残念ながら今年は、博物館周辺で年越しをした個体はいないようです。
その代わりではありませんが、網にからまって死んでいる個体を見かけました。

生きているうちに自分の網に捕らわれてしまう事はまず有り得ないので、どうしてこうなったのか不思議です。
さらに良く見ると、硬い殻を持たない腹部がしっかり残っています。さらに頭胸部の銀色の毛や、脚の環状斑(縞模様)が色鮮やかに残っていて、まるでていねいに乾燥標本にしたかのようです。
クモの標本は、普通「液浸標本」といってアルコール浸けにします。
しっかりと保存するためにはそれで良いのですが、ビンの中に入っていて、色も抜けてしまうので見映えがしません。
そこで、乾燥標本づくりに挑戦したことがあるのですが、きれいに仕上げるには結構手間がかかります。
こんな風にきれいな乾燥標本(?)ができてしまうなんて、偶然の力にしばし感嘆してしまいました。

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