今月初めに、博物館実習生(生物分野)がこのブログで紹介してくれていた、カイコの伝統的在来品種の小石丸(こいしまる)の飼育も、すでに5齢期に入りました。
小石丸は、明治から大正時代まで極めて優良な品質の繭糸を生み出す品種として国内で生産されてきました。しかし、一つの繭からとれる繊維の量が少なく(現在の実用品種が一つの繭から1200メートルほどとれるのに対して、小石丸は800メートルほど)、昭和初期には実用品種としての役目を終えました。しかし近年、その繊細で光沢の強い繭糸の特性から、古代の服飾品の復元や、高級絹織物の原料に欠かせない品種として再認識されつつあります。
まだ脱皮直後(9月17日)ですが、斑紋が明瞭な小石丸の特徴が出ています。
さらに、小石丸の特徴は、繭の形です。中央がくびれた形は、日本の伝統的な繭形として、今も工芸品や郷土のお菓子などに残ります。
あと1週間ほどで繭を作り始めますので、その際にはこのブログで紹介します。