11月6日、博物館で麻布大学の生物実習を行いました。コロナ対策のため、2班を午前、午後に分けての実施です。
まず室内で、博物館で標本を作り、保存する理由や意義についての講義です。生物標本の多くは、過去へさかのぼって標本を採集することができません。私たちにとって過去の標本がとても重要であるように、50年後、100年後の人たちが過去の生物について知ることができるよう、博物館で標本を保存していることなどについて解説しました。
また、植物分類の初歩的なトレーニングをしてみました。こちらの植物の識別です。
一般にこの植物はススキと混同されています。しかし、しっかり識別すると、別の種類のオギという植物であることがわかります。
違いは、穂についている粒(小穂:しょうすい)ひとつひとつをじっくり見ます。芒(のぎ)と呼ばれる針状の毛が伸びているのがススキです。
芒が無く、全体的に毛が長いのがオギです。
こんなわずかな違いを見るのが分類の難しさでもあり、おもしろさでもあることを実感してもらいました。
続いて、実際に標本をつくる実習です。標本の作り方の解説をした後、野外へ出ます。せっかくの秋晴れなので、ミニ自然観察会も実施しました。「落ち葉のグラデーション」というプログラムでは、拾った落ち葉の色の近いもの順に並べて環を作ります。
2グループに分かれて作ると、落ち葉の色のバリエーションが多彩なだけでなく、グループの個性が作品に出ることにみなさんちょっと驚いていました。
植物採集は、花か果実のついたものを選びます。
ふだん気に留めていない駐車場にも、意外にもたくさんの花や果実があります。再び室内に戻り、押し葉にします。
作った押し葉を学生さんたちは大切そうに持ち帰りました。
身近な植物も、じっくり向き合うことで面白いことがいろいろとあることに気づいてくれたようです。