博物館収蔵資料紹介~寝る時の道具

今回は寝る時に用いられたものを紹介します。

最初の写真は「箱枕(はこまくら)」です。箱型の台の上に、布を袋にして籾殻(もみがら)などを入れたものを乗せています。袋の部分に和紙を巻き、また、台が高くなっているのは布団(ふとん)の外に置くためで、結った髪型が崩れないように首の付け根にあてがって使いました。女性の嫁入り道具などとしてあり、これも昭和17年[1942]に南区古淵から緑区下九沢に来られた方が持ってきたものの一つです。                 

 

次の写真は袖がついた着物のように見えますが、寝る時に上掛けにする「掻巻(かいまき)」です。中に綿が入り、肩口をすっぽり覆うため暖かく、防寒に優れていました。やはり嫁入り道具の一つで、女性の客用として持参し、自分たちが使うものは別にあったそうです。元々は東京にお住まいだった方からの寄贈です(収集地・中央区淵野辺本町)。                  

 

前回の蝿(はえ)とともに嫌がられたのが蚊(か)です。特に寝ている間に蚊に刺されないように部屋に吊る蚊帳(かや)は、かつて夏の暑い夜には戸を開けて寝ることも多かった生活ではなくてはならないものでした。なお、写真は収納してある状態です。

この蚊帳は南区東林間で使われたもので、昭和30年[1955]代の東林間はまだ林などが広がっていて蚊も多く、昭和35年頃に町田で購入されたものです。                  

 

そして次の写真は、博物館で毎年秋から冬にかけて実施している「学習資料展」において、実際に蚊帳を吊った様子です。見学した子どもたちに、この中に布団を敷いて寝ていたことが分かるように展示しました。なお、学習資料展で、毎年蚊帳を展示しているわけではありませんのでご注意ください。                  

 

冬の寒い夜に布団の足元に入れたのが「湯たんぽ」(緑区二本松)です。写真は金属製の湯たんぽで中に湯を入れ、やけどをしないようにタオルなどに包みました。また、風邪をひいたりした時にも使われました。                  

箱枕や掻巻に対して、蚊帳や湯たんぽは子どもの時に使った記憶がある方もまだ多いのではないでしょうか。今後ともさまざまなテーマのもとに収蔵資料を紹介していきたいと思います。

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