現在、開催中の「令和4年度かながわの遺跡展 縄文人の環境適応」で展示中の資料を紹介します。
今回は「顔面把手(がんめんとって)」。勝坂式土器にみられる土器の縁の部分(口縁)に、顔が付くものです。
展示中の資料は座間市蟹ケ澤(かにがさわ)遺跡から令和4年10月にみつかったものです。
相模原市では、下溝大正坂遺跡出土のものがあります。そのお顔を比較してみると・・・
ゆるい「m」字のまゆげ、特徴的なお鼻、開いた口、両側に貫通した穴があるなど、共通している部分があります。
さらに、横から見ると、お鼻や目の高さが微妙に違います。
上の写真は土器の内側で、顔が歪んでついています。なぜ内側かというと、残存する口縁のカーブの状況や、土器の上から見ると顔が中心側を向いていることがわかるためです。また、赤の破線はおそらくはこのような口縁の大きさでは?と推定したラインです。
常設展示の土器と口縁の具合を比較すると、大きい土器は弧が緩やかで、小さい土器は弧がきつくなっています。このことから中ぐらいの大きさの土器につけられたものかもしれません。
皆さんも実物をじっくりご覧いただき、縄文人の顔への意識を考えてみるのはいかがでしょうか。
本展示は3月5日(日)まで開催しています。また、3月4日(土)には展示解説がありますので、ぜひご参加ください。