5月4日、博物館お隣の樹林地を歩いていると、朽ちかけた木柵の表面が動いているように見えました。近づいて見ると、ヤマトシロアリの有翅虫(ゆうしちゅう)がうごめいているのでした。
シロアリと言うと家屋害虫(主にイエシロアリ)ですが、ヤマトシロアリは野外で普通に見られるシロアリで、湿った場所の朽ち木をすみかにしています。乾いた木柵から出てくるのはちょっと意外でしたが、有翅虫が飛び立つところはタイミングが良くないと見る事ができないため、動画も撮影してみました。
家屋内では害虫のシロアリですが、自然の中では枯れ木を効率よく分解させるための前処理(ボロボロに崩す)をするため、生態系の中で重要な役割を担っています。
春が進み、生きものの動きが活発になっています。近くの地面では、ムクドリが一心不乱に何かをついばんでいます。
オオヒラタシデムシを捕まえたようです。おそらくオオヒラタシデムシは抵抗して強烈な臭いを出しているはずですが、ムクドリはお構いなしです。さらに、別のムクドリが草むらへ首を突っ込んだかと思うと、ニホンカナヘビをつまみ出しました。
尾を自切して抵抗したものの、ムクドリには通用しなかったようです。
食べる-食べられるの関係は生態系の重要な要素ですが、生々しいシーンを目にすることが多い季節になりました。
(生物担当学芸員)