今年の十五夜は9月29日です。中秋の名月を愛でることはできるでしょうか。
十五夜と言えば、ススキと月見団子です。身近な場所にススキは生えているでしょうか。河原や、ちょっとした空地のような場所に生えていますが、実はススキと私たちが呼んでいる植物の中に、そっくりだけどちょっと違うものが含まれているのをご存じでしょうか。ススキはこちらです。
そして、よく似ているけど別種である、オギがこちらです。
おそらく、よほど植物に詳しくなければ、この両者は区別されていないと思います。どこが違うかというと、穂を拡大して見るとわかります。ふさふさした穂の1本の、さらに、そこに並んでついている粒の一つを「小穂(しょうすい)」と呼びます。イネでいうところの、お米の1粒にあたる部分です。図の方がわかりやすいので、下の図(当館作成)を比べてみてください。
上がススキで、下がオギです。違いは、小穂の先から1本長い針状の毛が伸びています。これを「芒(のぎ)」と言います。根もとから出ているフワフワの毛は短めです。オギの方は、この芒が無くて、根もとから出る毛が長く伸びています。穂を全体的に見てもわかりにくいので、穂の1本をつまんで曲げてみます。すると、ススキの方は芒がピンと立ち上がって見えます。
オギは芒が無くて、毛が目立ちます。
ほかにも、ススキは束生(そうせい)といって株がまとまって束のように出るのに対して、オギは1本ずつ地面から伸びます。また、ススキは乾いた場所に多く、オギはどちらかというと湿り気のある場所に多いという特徴があります。でも、博物館のそばにも隣り合って生えている場所もあり、生育環境ではっきりとは分けられません。
と・・ここまで詳しく述べておきながら・・十五夜にオギを飾ったところで、何の問題もありません。むしろ、オギの方が全体的にフワフワしていて雰囲気が出るかも。とってきて飾ったのがどちらの植物か?ちょっと調べてみると楽しいかもしれません。
(生物担当学芸員)