相模原市内ではないのですが、10月5日に近接地域の緑地へ調査へ行っていたら、モズの高鳴き(秋のさえずり)が聞こえてきました。モズは主に肉食性なので、秋から冬も1羽ずつなわばりを持ち、食糧を確保します。声の方を見ると、ネムノキの枝上でなにやらくわえています。
くわえられていたのは、カナヘビでした。まだ抵抗して動いています。食べるわけではなく、枝におしつけるような動作を繰り返していましたが、そのうちモズはカナヘビをくわえたまま飛び去りました。
しばらくして戻ってきたら、すでにカナヘビはいません。その前の動作から推測すると、おそらく食べたのではなく、どこか尖った枝などに串刺しにしてきたのでしょう。
モズは秋の後半から冬にかけてこうした行動をとり、「モズのはやにえ」と呼ばれています。貯食の意味もあると言われていますが、そのわりには、捕まえた虫やカエル、時にはメジロやモグラといったものまで、目立つ場所に堂々と刺してあります。おそらく、なわばりの誇示の意味もあるのでしょう。
残念ながら今回は「はやにえ」となった状態そのものは見つけられませんでしたが、これからの季節、モズのいる場所にはたいていありますから、また紹介したいと思います。
近くでは、エゾビタキがミズキの果実を食べていました。
エゾビタキは北方で繁殖し、東南アジアなどで越冬するため、秋には日本各地の緑地や公園を通過します。ミズキが渡り途中の野鳥の栄養を支えていることがよくわかります。
ここ数日ですっかり秋めいてきました。野鳥の世界はすでに秋風が本格的に吹いています。
(生物担当学芸員)