相模原市緑区の相模川の河原を歩いていると、すぐ近くでウグイスがさえずりました。薮を好む鳥ですが、この時はライバルのオスが接近していたのか、アカメガシワの枝上にススッと上がってきました。
日なたに出てくることがあまりない鳥なので、撮影できてラッキーでした。しばらくケキョッ、ケキョッと「谷渡り」と呼ばれる連続した鳴き方をしていましたが、ライバルが遠ざかったのか、ヤナギ類の込み入った枝へ戻っていきました。すると、通常のさえずりである「ホー、ホケキョ」と鳴き始めます。
始めの「ホー」のところでよく観察してみると、喉が膨らんでいるのがわかります。ウグイスは春を告げる鳥として、気象庁が「ウグイスの初鳴き前線」を生物季節観測の一つとして記録しています。初鳴きと呼ばれる鳴きはじめの頃は、「ホ、ケッキョ」などとうまくさえずることができません。それは、上の写真のように喉がしっかり膨らまないためなのです。それが、練習を重ねていくうちに喉が膨らむようになり、大きな音でしっかりフレーズを刻むことができるのです。
ウグイスを観察していたら、近くでエナガの声がしました。目で追うとオニグルミの幹の股の部分に、つがいで巣を作り始めていました。
しかし、この時期で巣作りの初期ということは、1回目にしては遅すぎますし、1回目が巣立って2回目というには早すぎます。おそらく、1回目の巣が、巣立ち間際にカラスなどに襲われて失敗し、2回目に入ったということでしょう。今度は失敗せずに無事に巣立ってほしいですね。
(生物担当学芸員)