博物館は今、ランの仲間が花盛りです。中庭に植栽された野生ランの一種、エビネが盛大に咲いています。
以前は数株だけだったのですが、花が咲いた後、花径を引き抜いたり、冬場に葉に光が当たるように手入れをしていたら株が増え、円を描くように広がって咲くようになりました。花を拡大して見ると“雑木林の女王”の風格ですね。
さらに、向かい側の小さな中庭にはこんなランが咲いています。カヤランです。
昨年の台風の後に緑区のある林道に落ちてたという株を譲り受けたので、中庭に植えてみました。植えると言っても、カヤランは着生ランなので、樹木の幹に、水苔(みずごけ)と一緒にしばりつけておいただけです。そのうちの1株が開花しました。大きさは1cmに満たない小さな花ですが、しっかりとランの顔をしています。
さらに、こちらは一般の方が入れないお隣の樹林地のエリアなのですが、キンランが開花しました。
5年ほどまえから急に咲くようになったのですが、これはおそらく、周辺のミズキが何本も枯れて林床まで日の光が届くようになったことで、眠っていた株が覚醒して開花するようになったのだと思われます。
春から初夏へと移り変わる、華やかな季節となりました。
(生物担当学芸員)