博物館の最寄り駅のエスカレーターで、手すりの土台に綺麗な蛾がとまっているのを発見しました。
すかさず手で掬い上げたところおとなしく手のひらに乗ってくれたので、自宅で撮影に協力してもらいました。
ベニスズメという、黄土色とピンク色のコントラストがとても鮮やかな、美しい蛾です。
脚は白っぽく、まるで白い手袋をしているようです。
それから数日後の出勤中、今度は綺麗な緑色の蛾を見つけました。
こちらはウンモンスズメという種で、抹茶ラテを混ぜたような模様が特徴です。
この蛾の脚はピンクで、こちらもとてもおしゃれです。
この個体の観察を終え歩き始めると、なんと同じ壁にもう1頭、ウンモンスズメがとまっていました。
そして、3匹目!?と思いきや、今度は街路樹のケヤキの葉でした。
ウンモンスズメの翅(はね)の緑色は、植物の葉の色に似せているのかもしれませんね。
ウンモンスズメの幼虫はケヤキの葉も食べることが知られています。
今回発見した2頭も、おそらく街路樹のケヤキを食べて成長したのだと思われます。
ピンク色のベニスズメと緑色のウンモンスズメは、おなじスズメガ科というグループの蛾です。
スズメガのなかまには毒をもつものはおらず、夜行性なので昼間はじっとしています。街中で見かけたらぜひじっくりと観察してみてください。
大きな目をしていてチャーミングですよ。
(動物担当学芸員)