7月27日(土)、実習実験室で花粉による在来タンポポの識別を行いました。これは、認定特定非営利活動法人アースウォッチジャパンによる「日本固有のタンポポ全国調査プログラム」に、当館学芸員が研究員として参画していることから実施されたものです。
当館では、相模原市自然環境観察員制度によるタンポポ分布調査において同様の識別作業の実績があります。今回も、市民参加による識別作業のノウハウを生かして作業を進めました。
全国から集まったタンポポのサンプルを3回に分けて識別作業を行う予定で、初回となる今回は、このプログラムにご支援いただいているRGAリインシュアランスカンパニー日本支店の皆様を中心に集まっていただきました。
生物顕微鏡を使った作業は、ピントを合わせるところから慣れないと難しく、はじめはみなさん苦戦していました。しかし、徐々に慣れてくると効率的に作業が進み、次々と「在来種と雑種」の識別をしてくれました。
花粉による識別は、粒の大きさがそろっているか、バラバラなのかで見分けます。
また、そもそも花粉がほとんど作られていない花も雑種です。みなさん慎重に集中して作業されているので、ちょっと気分を変えて、別の植物の花粉を見ていただきました。こちらは、博物館の近くで採集してきたアレチマツヨイグサの花粉です。
タンポポとはまったく異なる三角形の花粉にみなさん驚かれた様子でした。
集まったタンポポのサンプルは、外見から「在来種」と判断して採集されたものですが、結構な割合で雑種が含まれていました。身近な野草であるタンポポをとおして、生物多様性について考えるきっかけとなることがこのプログラムの目的の一つです。顕微鏡観察を楽しみながらも、遺伝子レベルの多様性を意識していただけたことと思います。
(生物担当学芸員)