ウスバキトンボ

8月30日(金)から9月1日(日)まで、大雨となる予報のため尾崎咢堂記念館および吉野宿ふじやは臨時休館いたします。詳しくは当館ホームページなどでご確認ください。相模原市立博物館は本日以降、通常開館の予定です。

さて、台風接近による不安定な天候の中でしたが、8月28日に南区下溝の水路沿いを歩きました。風が穏やかになると、どこからともなくウスバキトンボが湧き上がってきました。

ウスバキトンボ

数十匹から、多いときで50匹くらいいたでしょうか。関東周辺では、8月のお盆のころから急に数が増えてくるので、「精霊とんぼ」などとも呼ばれます。
ところでこのトンボは少々不思議な移動をします。春、南西諸島などで羽化した成虫がどんどんと北上し、途中で繁殖をしながら北日本まで到達します。ところが、幼虫は冷温に弱く、少なくとも関東地方以北では越冬できずに死滅すると言われています。それでもわざわざ北海道までも北上するのはなぜなのでしょうか。まさか、温暖化によってウスバキトンボの幼虫の越冬可能な地域が広がるのを予見しているわけでもないでしょうし、不可思議な生態です。
近くでは、ジュズダマが開花していました。もう少し季節が進むと、さまざまな模様のじゅず玉が実るでしょう。

ジュズダマの花と若い果実

そして、クサギの花にはホシホウジャクが訪れていました。

クサギの花を訪れているホシホウジャク

蛾に見えませんが、ストロー状の口吻を伸ばして花の奥の蜜を吸っています。眼がこちらを見ているように見えますが、これは瞳孔ではありません。複眼の中央部分が影のように暗く見えているだけで、偽瞳孔と呼ばれるものです。この偽瞳孔のせいか、ハチドリのようにも見えます。
こうした生きものたちは、風雨の中どこに身を隠しているのでしょう。台風の進路とともにちょっと気になりますね。
(生物担当学芸員)

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