麻布大学野生動物学実習を行いました

10月5日、当館の実習実験室に学生さんがたくさん集まりました。これは、ご近所の大学である麻布大学獣医学部動物応用科学科からの依頼で、3年生の「野生動物学実習」を実施するためです。

25名の学生さんが集まりました

講座名は野生動物学ですが、フィールドワークに必要な、植物学や植物標本に関する基礎的なスキルを学ぶため、午前中は植物標本を扱います。博物館における生物標本の意義などのレクチャーを行った後、こんなスライドを提示しました。

一般にススキと呼ばれている植物には、別種であるオギも含まれます。両者はとてもよく似ていて、GoogleレンズなどのAIを使っても現時点では識別できません。そこで、どうやって判別するかを説明し、実際に穂についている小穂(しょうすい:粒の一つ一つ)を観察して判別してもらいました。

総(ふさ)の1本を曲げると、小穂が立ち上がって見えます

やり方がわかれば意外と簡単です。植物の見どころを押さえるトレーニングに続いて、雨の中、野外に出て標本を採集しました。

雨の中の植物採集

室内に戻って新聞紙に挟み、標本ラベルを記入しました。押し葉標本作製のほんの入り口までですが、この標本は仮押しの状態で持ち帰ってもらいます。
お昼を挟んで午後は動物標本のスケッチを用いた実習です。

全体ではなく、パーツをスケッチしてもらいました

それぞれ目の前の標本のパーツをスケッチします。場所を変えていくつか繰り返していく中で、スケッチという観察手法によって観察の客観性を得るトレーニングです。それぞれの標本の相違について考え、それをグループごとに共有します。このディスカッションも、客観性を保つための手段です。

グループで気づいたことを共有

生物科学を専攻する学生さんたちなので、生きものを科学的に扱うために必要な基本中の基本のスキルを学んでもらいました。みなさん熱心にそして真摯に取り組んでくれました。
(生物担当学芸員)

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