ツバメではないツバメ

市内の相模川を歩いている時、ふと上空を見上げると、ヒメアマツバメが群で飛んでいました。

ヒメアマツバメ

この鳥は飛ぶことに特化した体のつくりをしていて、日中のほとんどの時間を上空で過ごします。その名のとおり、体つきもツバメとよく似ていますが・・分類上はツバメの仲間と遠く離れているのです。こちらは、近縁のアマツバメです。

アマツバメ ヒメアマツバメと比べると一回り大きく、翼がよりシャープな形

どちらも春や秋には市内の上空を飛んでいるのが見られます。ヒメアマツバメは、市内の一部の地域で繁殖もしています。ツバメと比べて、翼がより高速で飛べるように細長く、鎌の刃のような形をしています。
ちなみに、本家?のツバメはこちらです。燕尾の切れ込みが深く、翼はアマツバメより幅広くて先が尖り、高速で飛ぶよりも、細かいターンをしやすくなっています。

ツバメ 喉が赤いのも特徴

ところが、ツバメの仲間にも、ヒメアマツバメにそっくりな種類がいます。イワツバメです。白黒の色合いと、燕尾の切れ込みが浅いところがよく似ています。

イワツバメ

イワツバメはお腹が白いのが特徴で、双眼鏡で見ればすぐに見分けられますが、肉眼で、上空を飛んでいるシルエットを見ただけではどちらかほとんどわかりません。
どちらも空中で飛んでいる昆虫などを食べ、多くの時間を空中で過ごします。こうして、生息環境の利用方法や食生活などが同じであるために、異なる進化の過程を経てきた生きもの同士の外形が似ることを「収れん進化」と言います。ツバメ類とアマツバメ類はその典型的な例の一つと言えます。ちなみに、中華料理の高級食材として使われる「燕の巣」とは、アナツバメという種類のゼリー状の巣材で、アナツバメはアマツバメの仲間です。
(生物担当学芸員)

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