12月22日(日)、甲州道中歴史講座第3回「建築史からみた本陣建物」を開催しました。本講座は、江戸時代に徳川幕府のもと整備された五街道の一つ・甲州道中において、各都県で唯一の現存本陣建物を有する相模原市と日野市の共催により実施しているものです。連携事業では本講座のほか、日野市立新選組のふるさと歴史館の特別展「甲州道中日野宿と本陣」(令和7年1月26日(日)まで)を開催していますので、いずれもお楽しみいただければと思います。
第3回目となる甲州道中歴史講座は「建築史からみた本陣建物」と題し、東京工芸大学教授で本市の文化財保護審議委員でもある海老澤模奈人(えびさわ もなど)先生を講師にお招きしました。各市の宿場と本陣に注目した第1回、第2回からテーマがガラっと変わり、今回は建築史や建物の類型(building type)の視座に立ったお話です。
郷土史がメインの前回までよりも専門性が高い内容ではありましたが、導入として本陣や五街道と甲州道中の定義、文化財としての本陣建物、日本における代表的な住宅形式の紹介があり、とてもわかりやすく解説いただきました。
講座の後半では、平面図の構成や屋根(建物)の構造による分類研究、空間の使途などの視点から、小原宿本陣・日野宿本陣についてお話しいただきました。海老澤先生が実際に両本陣を訪ねて撮影された多くの写真を用いた丁寧な解説に、参加された皆さまもじっくりと聴き入っている様子でした。
今回は年の瀬の開催にもかかわらず、50名以上の方にお越しいただきました。ありがたいことに、前回から引き続きご参加いただいた方や、当館歴史担当学芸員が講師派遣の際にお知らせしたことで興味を持ち、このたびお越しくださった方もいらっしゃいました。たくさんの方が甲州道中を主とした地域の歴史に関心を寄せてくださり、大変嬉しく思います。
本年10月から連続講演会形式で行ってきた甲州道中歴史講座は、令和7年1月19日(日)に開催する次回で最後となります。第4回目は「江戸幕府の五街道政策と甲州道中」のテーマで、講師に国文学研究資料館のプロジェクト研究員 菅原 一(すがはら はじめ)さんをお迎えします。最終回もぜひお越しいただきたいと思います。
(歴史担当学芸員)