トラツグミダンス

今年の冬は冬鳥が少ないと、あちらこちらから聞こえてきます。一方で、山地で繁殖して冬になると低地に下りてきて越冬するトラツグミが今年は比較的よく見られます。市内の公園でも、林内で採食するトラツグミを見ました。

トラツグミ

トラツグミは地面を歩き、主に落ち葉の下に隠れている小さな虫などを捕らえて食べます。その際、体を小刻みに震わせたり、腰を上下左右に振る動作を繰り返します。この動きをバードウォッチャーたちは「トラツグミダンス」と呼んでいます。今回はゆっくりこの動作を観察できたため、動画を撮影してみました。この時はダンスというより、音楽に合わせてリズムを取っているような動きにも見えます。

興味深いのが、頭はまったく揺れないところです。鳥は飛ぶ時など激しい動きをしても視界がブレないよう、優れた平衡感覚で頭を静止させることができます。
ところで、なぜこのような動きをしているのか、はっきりはわかりません。おそらく、地面の虫やミミズなどを刺激して、その反応を感じ取って見つけ出しているのではないかと言われています。同じように地面で採食するヤマシギなども同じような動き(ダンス)を行うので、それなりの効果があるのかもしれません。
近くでは、近い仲間のツグミも採食していました。冬鳥が少ないと言われるその筆頭の種ですが、やっと公園内でもたくさん見られるようになりました。

ツグミ

こちらはトラツグミのようなダンスはせず、「だるまさんがころんだ」のようにぴょんぴょんと数歩跳んではピタッと止まる動作で採食していました。
冬の間はこうした野鳥の行動が見やすいので、じっくり観察するのも楽しいものです。
(生物担当学芸員)

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