ムサシアブミ

博物館お隣の樹林地に、数年前からこんな植物が生育しています。

林内に咲くムサシアブミ

ムサシアブミという、サトイモ科の植物です。博物館やその周辺にも多いミミガタテンナンショウと同じ仲間です。ただ、この植物の本来の分布は西日本が中心で、関東地方南部には分布しません。種名に武蔵(むさし)とつきますが、これは仏炎苞(ぶつえんほう・花を包む部分)の形が馬具の鐙(あぶみ)に似ているからですが、その著名な産地が武蔵国だったとのことです。ちょっと紛らわしいですね。関東地方で見られるのは、栽培されていたものが逸出(いっしゅつ)したと推測されています。

仏炎苞が鐙(あぶみ)に似ていることから名づけられた

近隣の公園などでも増えていて、いかにも南方系の植物らしく、葉が大きくつやつやしていて、さらに変わった形の花を咲かせるため、駆除されることもなく生育しているのをよく見ます。

大きな葉は遠目にも目立ちます

博物館周辺でも爆発的に増えるような気配もないため、とりあえず駆除せずに放置しています。何より、見た目のおもしろさもあり、咲くのをちょっと楽しみにしたりしていて、(国内)外来種の扱いの難しさを実感しています。
(生物担当学芸員)

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