ガスくん蒸

先日は館内の有害生物調査についてブログで紹介されていました。
これはIPM(Integrated Pest Management=総合的有害生物管理)の一環として行われているもので、点検、調査、清掃、防除等を総合的に組み合わせた管理方法です。今、さらに対処・防除方法の一つである収蔵庫のガスくん蒸を実施しています。

なにやら収蔵庫前に大がかりな配管やチューブが設置されています。毎年実施している定期くん蒸は資料をビニールで被覆してガスを入れる簡易なものですが、今回は大規模です。一部の収蔵庫においては文化財害虫の完全な防除が必要です。10数年ぶりに、こんな大規模なくん蒸を実施中です(写真はガス投入前のものです)。

一昔前までは、博物館資料の脅威となる文化財害虫に対して薬剤によるガスくん蒸一辺倒と言ってよい害虫防除をしてきました。しかし、人体や地球環境への影響などから、薬剤による防除の比率をできる限り下げることが現在の博物館においても趨勢となり、当館でもIPMを取り入れています。
しかし・・当館のような総合博物館ではさまざまな来歴の新規収蔵資料を受け入れているため、薬剤による防除を完全にゼロとすることができません。毎年定期的に、必要最小限の薬剤量となるようにガスくん蒸を行っています。また、空調設備も老朽化し、収蔵庫の室内環境の安定化も難しいことから、このように収蔵庫ごとくん蒸する必要も生じます。
資料を永久に保存・管理するための措置ですが、今後も点検清掃をこまめに実施して、できるだけ薬剤の使用を抑えたIPMを目指していきたいと思います。
(生物担当学芸員 秋山)

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