カキとピラカンサ

ご近所の庭木にとまるムクドリの嘴がなんだか太いな、と思いました。

よく見たら、熟れたまま枝に残っていたカキの果実をついばんでいたのでした。

これはごちそうだろうとしばらく見ていたのですが、ちょっと不思議なことに気付きました。
どちらかというと、5羽以上のムクドリが夢中になって食べていたのは、隣に実るピラカンサ(トキワサンザシ)だったのです。

ギャーギャー大騒ぎしながら争うように食べています。ピラカンサは中国原産の園芸木で、このブログでも「鳥にあまり好まれない果実」と紹介しています。事実、残る年は早春まで真っ赤な果実が枝に残ります。
ところが、あるとき突然この果実が食べ尽くされることがあります。
ピラカンサの果実は小さな種子がびっしり詰まっていて栄養価が低く、おまけに青酸配糖体を含むため有毒です。そんな果実を競って食べるというのがよくわかりません。食糧難の折ならともかく、すぐ隣に栄養価満点のカキが熟しているのにです。
ヒヨドリも、公園などに植栽されているユズリハの葉(有毒)をむさぼるように食べることが知られています。この葉はほとんど消化されずにフンとして出てしまうのですが、これを食べる理由はいまだ不明です。ムクドリがピラカンサを食べる「理由」があるのか、興味深いところです。
(生物担当学芸員 秋山)

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