今朝の地震は初期微動のイヤな感じからS波の衝撃が明瞭で、震源の近さを実感しました。
地震に驚くのは人間だけではないようです。出勤したら警備員さんが「地震に驚いた鳥がガラスにぶつかって失神してたから保護しておいたよ!」とのこと。急いで事務机に向かうと、ダンボールが置いてあります。そっと中を覗くと・・・!
このオレンジ色のおめめは、オオコノハズク!
じつは10年ちょっと前にも、博物館の中庭のガラスにぶつかって一時的に脳しんとうを起こしていた個体がいました。なので、このあたりの森で越冬しているということはわかっていたのですが、昼間はほとんど動かないし鳴かないので、こんなことでもなければ見られない鳥です。
室内のあかりは眩しいようで、ダンボールの外に出すとすぐに目を細めてしまいました。
せっかくなので風切羽のセレーション構造(ギザギザ構造で、空気の流れを整えて羽ばたき音を小さくする効果があります)も観察しました。
はばたくようすから、元気に飛べそうだと判断できたのですぐに放すことにしました。
フクロウのなかまは昼間は目が見えない、とよく言われますが、そんなことはありません。しっかり見えています。夜行性なので無駄に動かず、目を閉じていた方が保護色を完成できるのでつむっていることが多いのです。
でもこんな表情をしていると見えないように思えるのも無理もありませんね。
地面に置くとすぐに元気よく飛び立っていきました。
地震には驚かされましたが、ちょっとトクした気分になりました。
(生物担当学芸員 秋山)