昨日の相模原植物調査会の野外調査会は前の記事のとおりですが、調査の本格シーズンを前に足慣らしを兼ねて町田の野みちを歩きました。足慣らしのはずが、帰ってから歩数計を見ると20000歩くらい歩いていましたが・・。
さて、立春を過ぎてフィールドのそこかしこに、春がちらちらと顔を見せ始めています。日だまりに咲いていたタンポポです。
里山に咲いているという生育環境からも、在来種のカントウタンポポのようです。外来種との識別点である総苞(花を支える土台の部分)もしっかりとまとまっています(外来種は総苞片が反り返ります)。しかしよく見ると・・
花と一緒に、とっくに咲き終わって実りつつある果実もつけています(写真の右端)。カントウタンポポは外来種と比べると季節に厳密で、3月下旬からやっと咲き始めて、5月には咲き終わります。真冬も日だまりで咲くのは外来種の特徴です。今年は一時的に暖かい日が何度かあったので、咲き始めとも言えるのですが、ちょっと早すぎます。これは、両種の特徴を併せ持つ雑種に騙されている可能性があります。詳しくは花粉の検定をする必要があるのですが、この日の調査は採集しないルールで実施しているので、識別はおあずけとなりました。
さらに日だまりではこんな風景が。
何を写した写真かわかりませんね。でも、ズームアップして見ると・・・
ゴイサギの若鳥です。完全に風景に溶け込んでいます。そのせいか、コンパクトカメラでしたが、こんなアップにできるほど近づいても逃げるようすがありませんでした。ゴイサギの若鳥はその羽模様から「星ゴイ」などとも呼ばれています。
次の写真は薬師池公園内のあるスギの木の写真ですが・・なんかおかしいですね。
スギの木の途中からササが生えています!これは幹に着生しているわけではありません。おそらく、幹に空いた空洞にササの茎が入り込み、洞の穴から葉を伸ばしたものと思われます。すごい生命力です!
さて、小野路の緑地の際にはこんな木が立っていました。これはべつに騙そうとしているわけではありませんが、うっかり枯れ木と見まごう立ち姿です。
この木は枯れていません。しっかり冬芽をつけて生きてるケンポナシの木です。幹の内部がすっぽりと抜けていますが、形成層が生きていれば植物は生きているという見本のようです。ちょっと神々しい雰囲気で、地元でも大切にされているようすでした。
春は目も頭も季節に追いつかず、フィールドワーカーにとっては惑いの季節です。
(生物担当学芸員 秋山)