春の河原や畑のまわりなどで並んで咲いていることがある、マメ科の野草。
花が1センチほどで大きめのカラスノエンドウ(別名ヤハズエンドウ)と、
3,4ミリメートルほどのスズメノエンドウ(下)です。
そしてこの2種の中間の大きさなのが、カスマグサ(カラスとスズメの間という意味の洒落た和名)です。色合いも中間くらいの濃さですね。
カラスノエンドウとスズメノエンドウの雑種起源ではないかとさえ言われてきたカスマグサですが、最近、植物の情報交換を行っているメーリングリストに、ちょっと驚きの話題提供がありました。この仲間のDNA分析から系統解析を行った海外の論文によると、スズメとカラスに比べて、カスマグサはちょっと遠い類縁関係にあり、どちらかというと、さやえんどうなどに近いという結果が出ているそうです。
もちろん、この論文の結果のみで系統が確定するわけではないのですが、私も種分化の例として観察会や講座などのネタにしていたのが、少し考え直さないといけないかなと思っています。
中間的な形質と思い込んでいたのですが、そう言われてじっくり写真を見ると、花の形態や構造が確かにちょっと異なるようにも見えます。思い込みというのはやっぱり科学的ではないですね。
(生物担当学芸員 秋山)