11月2日、水曜日.曇り.
約2ヶ月ぶりの野外調査です.相模原市緑区名倉で富士相模川泥流の地層の剥ぎ取り標本を作製しました。
泥流というのは、泥や砂礫と水が混ざったものが谷や川を流れ下る現象のことです。
富士相模川泥流は、約2万2千年前に富士山麓から桂川・相模川を流れ下った泥流です。
地層に直接剥ぎ取り剤(水と反応すると硬くなる薬剤です)を塗ります.
剥ぎ取り剤を塗った上に寒冷紗を貼り,さらに寒冷紗の上から剥ぎ取り剤を塗ります.
剥ぎ取り剤が固まったら,鎌やタガネを使って地層を剥ぎ取ります.寒冷紗を破らないように慎重に作業します.地層がやわらかければ鎌だけで剥ぎ取ることができるのですが,今回の地層は固く締まっており,主にタガネとハンマーを使って剥ぎ取りました.
剥ぎ取った標本は博物館に持って帰ってから,薬剤が染み込んでいない余分な部分を洗い流します.
今回剥ぎ取った地層は,5年前にも挑戦したのですが,うまく剥ぎ取ることができませんでした.その時は地層に寒冷紗をピンで止めて,その上から剥ぎ取り剤を塗る方法でやってみたのですが,剥ぎ取り剤が染み込まず,地層が剥ぎ取れませんでした.今回は薬剤を変え,また,地層に直接剥ぎ取り剤を塗る方法でうまく剥ぎ取ることができました.
(地質担当学芸員 河尻)