地上に咲くバラ

毎年この時期になると、博物館のお隣の樹林地の地面に、バラの花が咲きます。
いや、正確には、落ちています。
1月28日(土)12時からの「生きものミニサロン」の下見のために歩いていたら、今年も落ちていました。

これはもちろん、バラではありません。ヒマラヤスギの球果(松ぼっくり)です。ほんとうはもっと細長くて大きいのですが、下3分の2くらいが木の上で熟し切ってはがれ落ちてしまい、先端だけがこうしてまとまって地面に落ちると、バラのように見えるのです。ドライフラワーでは人気の素材です。
さて、この球果を分解してみました。下の写真は、種子2つと種鱗(しゅりん)が重なった1セットです。これがお行儀よく重なりあって球果を作っています。

種鱗は、種子が熟すまで支える棚のようなもので、熟すとこれが開いて種子を落とします。種子には膜状の大きな翼(よく)があります。

長径が1センチもある大きな種子なので、翼も大きいですね。
ところで、こんなふうに分解していて気付いたことがあります。種鱗を1枚ずつはがしていくと、2個セットの種子のうち、片側しか実っていないものばかりでした。しかも、向かって右側だけ実っています。

おや?そんな法則があったかな?と思って図鑑を調べてみましたが、当然、通常は2つとも実るようです。さらに種鱗をはがしていくと、そのうち両側とも実っていないものばかりになりました。結局、まとまって落ちた先端3分の1は、親木がじゅうぶん種子を落としたから残りは「もういいか」という感じで落としたもののようです。
なぜ先端がバラのようにまとまって落ちるのか不思議でしたが、どうやらそんなことのようです。それにしても、その境目あたりの実り方が右側に偏る理由はよくわかりませんね。

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