5月10日、緑区の山林へ植物相調査へ行きました。その目的の一つは、菌従属栄養植物であるサカネランの開花状況の確認です。なかなか見る機会の少ない野生ランなのですが、ちょっと薄暗い林内を進むと、1株だけしっかりと咲いていました。
菌従属栄養植物とは、樹木などの根に寄生する菌類にさらに寄生して栄養を横取りする植物で、腐生植物とも言われています。植物なのに光合成をしないため、葉緑素も持ちません。緑色の部分がないのはそのためなのですが、薄暗い林内で見ると、黄金色のろうそくでも立っているように見えます。花をアップで見ると、やはりランですね。
その近くには、ユウシュンランという別のランも咲いていました。こちらは独立栄養植物で、緑色の葉があります。背丈が10センチにも満たない小さなランですが、こちらも花はしっかりとランの形をしています。
と、野生ランを中心としたすばらしい植物調査だったのですが・・やっぱりコイツが足下から這い上がってきました。
ヤマビルです。今回は背丈の低い植物を、地面に肘をついたりして撮影していたため、あろうことかのど元に吸い付かれてしまいました。
さらに車に戻ってヤマビルがついていないかチェックをしていたら、靴底にこんなものまで!
マダニです。病原菌などを媒介しないヤマビルと比べると、こちらはかなり深刻な病気を媒介するため、なかなか恐ろしい相手です。幸い食いつかれてはいませんでしたが、ランを撮影できて高揚した気分も、この姿を見た瞬間にずーんと急降下しました。
気を取り直してさらに下って集落に入ると、キセキレイが地上を歩いていました。
ふわっと飛び上がったかと思うと、設置されている箱に飛び乗りました。
それは、ヒル避け剤が置かれた箱でした。「ヤマビル注意!」
もうやられちゃったよ、とつぶやきながら、帰路につきました。