市内の街路樹は、広い幹線道路では市の木であるケヤキやイチョウが多く植えられています。県道や市道にはソメイヨシノやユリノキ、コブシ、ハナミズキなど。どれも落葉樹なので、紅葉します。ソメイヨシノは中でも早めの時期に紅葉し、あっという間に落葉してしまいます。遅めなのがイチョウ。
まさしくラストスパートを黄金色で飾ってくれます。中国大陸原産のこの木の学名はGinkgo bilobaですが、これは17世紀末に長崎の出島に滞在したオランダ商館医のケンペルが名付けたものです。「銀杏」を音読みしたGinkjoを、ケンペルの著書である『廻国奇観』に記したはずが誤植によってヘンテコな綴りになってしまったという有名な逸話があります。植物分類学の父であるリンネがそのまま引用したためか、現在まで訂正されずに正式な学名として残り、英名もそのままGinkgo tree。発音しづらいですね。
そんなことはどうでもよいのですが、アスファルトの上で輝く落ち葉もそろそろ見納めでしょうか。まさしく、ラストスパートです。
(生物担当学芸員 秋山)