毎年、夏になると博物館のフェンスにからみついて伸びるこの植物の色に注目してしまいます。
ヤブガラシの花です。花弁が無いとても小さな花なのですが、開花してしばらくすると、花盤(かばん=雄しべや雌しべを支える部分が肥大したもの)が濃いオレンジ色になります。これは「いま、蜜をいっぱい出していますよ」というタイムサービス中のサインです。めざとく見つけたアリが群がります。
蜜を出し切ると花盤はピンク色になり、これは閉店のサインです。
ところで、ヤブガラシは巻きひげでからみつくタイプのつる植物です。巻きひげは最初、茎からまっすぐに伸びます。
巻き付くものに触れると、触れた部分を中心に巻き付きます。しっかり巻き付いたところで、今度は伸びていた巻きひげの根元の方をらせん状に巻き、茎を引き寄せます。
茎で巻き付くつる植物は、巻く方向が決まっているものが多いのですが、ヤブガラシの巻きひげはどちらも有りで、1本の巻きひげが途中で2,3回逆回転しています。
厄介者扱いされることの多いつる植物の雑草ですが、よく見てみると観察ポイントの宝庫ですね。