春から初夏の花には自己主張の強いものが多いのですが、真夏の花はどういうわけか、ちょっと奥ゆかしく咲くものが多い気がします。博物館の前庭で咲いているこちらの花もその一つです。
わざわざ葉の下に隠れるように垂れ下がり、暗がりに浮かび上がる灯火のように咲きます。これは、マンリョウの花です。
マンリョウと言えば、お正月の風物としても欠かせないあの真っ赤な果実を思い浮かべます。
あの果実のもととなる花が、真夏に、しかもこんなにひっそりと咲くのは意外ですね。マンリョウの花と言われても、イメージできる人は少ないのではないかと思います。
よく見れば、下向きがよく似合う美しい花です。
マンリョウの脇をふと見ると、ハエドクソウがやはりひっそりと咲いていました。
かつてこの植物の有毒成分を利用し、煮詰めてハエ取り紙を作っていたことからこの名があります。実用一本槍な名前ですが、小さいながら花は可憐です。
真夏の花が奥ゆかしいのは、木もれびによく映えるからかもしれません。