このところ、報道でいくつかの動物が話題にのぼっています。中でも一番取り上げられる回数が多いのは、おそらくヒアリでしょう。相模原市内では確認されていませんが、海外との物資のやりとりは港湾部に限りませんから、市内でも見つかる可能性はあります。
それ以外では、このブログでもおなじみのマメコガネ。
スイス南部で発見され、農業被害が危惧されているとのニュースでした。日本固有のコウチュウ類ですが、じつは、北米ではすでに侵入してジャパニーズ・ビートルと呼ばれ、農作物へ害を及ぼす外来種として認識されています。もちろん、日本国内では固有種ですから、在来の生態系を構成する大切な一員です(ただし、日本でも農作物への害は広く知られています)。
続いて、ヤマカガシです。
兵庫県で小学生が噛まれ、一時、意識不明となったことが報道されました。ヤマカガシは相模原市内でもふつうに見られるヘビです。毒ヘビであることは生きものを扱う人間の中ではよく知られているのですが、咬傷被害がマムシなどに比べて非常に少ないため、一般的にはあまり知られていません。奥歯に毒腺があり、よほど深く噛まれなければ毒が注入されることはありませんが、特に子どもさんが指などを噛まれると危険です。また、ニュースなどで映されたヤマカガシと、関東近辺にいるヤマカガシはやや色が異なります。関東のものは赤味が強いので、すぐに見分けられます。
顔のあたりに黄色味があり、胴体に強く赤色が混じるこのような色合いのヘビは、関東ではほかにいません。毒ヘビだからといってすぐに人間に害を及ぼすものではありませんから、見つけても距離をとりつつそっとしておいてください。
次に、先月報道されたセアカゴケグモです。こちらは市内で確認されました。
外来種が侵入して広まること自体が問題ではありますが、毒グモという側面が強調されすぎると、過剰な予防や駆除が行われてしまい、かえって在来生態系のバランスを崩して予期せぬ生物が増えてしまうというような弊害も起こります。セアカゴケグモは口の構造上、通常の接触によって人を噛むということはありませんので、見つけても慌てず冷静に対応することが重要です。ヒアリを含めて、こうした生きものの防除や駆除には専門的な技術と知識が必要となります。似た生きものを見つけた場合、博物館でも生物担当の学芸員が在館であればそうしたご相談に対応していますし、市役所や保健所を含めてまずは専門の機関へご相談ください。