博物館で現在飼育中のカイコ在来品種の小石丸は、順調に繭をつくっています。夏蚕(なつご)は気温が高い中で飼育するせいか成長期間が短く、5齢でもちょっと小さめのまま熟蚕(繭をつくる状態のカイコ)になりました。
一足先につくりはじめた品種「乞食」の繭はすっかり完成しています。鮮やかな黄色のくびれ繭で、思わず見とれてしまう美しさです。
この黄色は、簡単に言ってしまうと、クワの葉に含まれるカロテノイド系色素が、絹タンパクにしみ出したものです。カイコの繭のもともとの色がこちらと言えます。
では、白い繭はナニモノかというと、色素がしみ出さない性質を持った突然変異を固定したものです。たとえるならニワトリの白色レグホンのようなものです(原種はセキショクヤケイ)。日本では白い繭が好まれてきたようで、日本で育てられるカイコの多くが白繭ですが、中国大陸や東南アジアのカイコの多くは黄繭です。