博物館のボランティアグループである相模原植物調査会の方から、博物館にほど近いとある場所、レストランの前の植込みにこんな花が咲いているという情報が寄せられました。
ウマノスズクサです。それほど珍しいわけではありませんが、形のおもしろさもあって、花が咲いているところを見るとちょっと嬉しい植物のひとつです。
さて、こんな怪しげな形の植物には、たいてい何か仕掛けがあります。まずは花の開口部を正面から覗いてみます。
毛だらけです。この毛はどこまで続いているのでしょうか?花を縦に裂いてみました。すると、付け根の玉の部分から、2匹のコバエが飛び出してきました!
そうです!この毛は花の管状の部分にびっしり生えていて、しかもそれはきれいに奥側へなびいているので、花に入り込んだコバエは毛に遮られて中へ入れても外へは出られないのです。
付け根には雌しべと雄しべがあり、しばらくコバエはこの中で出口を探して暴れます。花粉をたっぷりつけさせられた頃、内部の毛はだんだんしぼむように小さくなり、通路を開けてくれます。下の写真は少し古い花の断面です。毛が縮れて管に隙間ができているのがわかります。
するとコバエは花を脱出しますが、また花の臭い(腐臭がすると言われていますが、人間にはちょっとわかりにくいかすかな臭いです)に誘われて別の花へ入り込み、雌しべのまわりを這い回って受粉するという仕組みです。
身近な植物の奥深い世界ですね。