これまでも職員ブログで何度か投稿されているように、学芸員資格の取得を目指す学生らが、夏季期間に博物館での実習に取り組んでいます。今回は、9月中旬に行いました考古分野の実習について紹介します。
1日目は、収集された考古資料の保管に関わる実習です。博物館で日常的に行っている発掘調査資料の再整理作業で、資料の分類や縄文土器の接合修復のほか、資料の保存に関して古代の刀子(とうす)や紡錘車(ぼうすいしゃ)などの鉄製品のサビによる劣化を抑える脱酸素のパッキング作業をやってもらいました。
2日目は、日頃、考古ボランティアの相模原縄文研究会と行っている資料調査と資料整理に参加してもらいました。資料調査は勝坂遺跡の縄文時代の植物利用を探るもので、すべての縄文土器からマメやエゴマなどの植物種子圧痕を探し、シリコンを使った圧痕レプリカを作成します。資料の観察や圧痕レプリカ法の実践を体験してもらいました。
資料整理は、個人の方から寄託いただいている大日野原遺跡の縄文土器や石器などの整理作業です。寄託資料は膨大で、整理自体は今年の8月から着手しており、まずは遺物の洗い作業から始めています。資料を傷めないよう、注意して洗ってもらいました。
最後の2日間は展示実習です。常設展示室の展示ケースの一角を使って、展示の企画、資料選定、展示レイアウト、パネル・キャプション作成、列品作業に取り組んでもらいました。実習生4人で議論し、縄文土器の装飾について観覧者に考えていただく構成となっています。縄文土器の文様に着眼してもらうため、文様の写真撮影も実習して、写真付きの解説パネルを作成しています。
展示資料は、大英博物館にも展示された大日野原遺跡出土の土偶装飾付き土器のほか、カエルのような抽象的な文様の縄文土器や顔面把手など、縄文土器の魅力を伝える見応えのある資料です。
もちろん、実習生の全員が自分たちで手掛ける初めての展示です。全員で意見を交わしながら、よりよい展示に仕上げる姿勢は、私たち現役学芸員と何一つ変わりません。展示は学びの収穫祭がある11月下旬までやっていますので、是非ご覧ください。