ノゲシとオニノゲシ

ノゲシ、オニノゲシという二つの植物は、市内でもごくふつうに見られ、春から秋まで長く咲くキク科の植物です。名前も似ていますが、姿はそれ以上によく似ています。でも、春から夏にかけてであれば、見慣れてくると全体の色合いや雰囲気でもすぐにわかります。ところが、秋の終わり頃に咲いているものはちょっと迷います。先日もこんな美しい綿毛につられて写真を撮ったのですが・・

美しい綿毛

近づくと、隣同士に大きな株が二つ並んでいます。よく見たら、片方は明らかにオニノゲシです。葉の基部が丸く茎を抱き、縁の刺がとても鋭い特徴がわかります。

オニノゲシの特徴が出ている葉の付け根

しかし、もう一つの株は葉の基部が細長く伸びて茎を抱いているので、ノゲシの特徴です。でも、なんだか刺がしっかり長く、刺だけ見るとオニノゲシのようです。

ノゲシと思われる株の葉

全体的にちょっといかめしく、ノゲシとすんなりと言えない株でした。じつはノゲシとオニノゲシには「アイノゲシ」という雑種が知られていて、もしやそいつでは!?と思い、一部を切り取って博物館へ持ち帰り、種子を見てみました。こちらはオニノゲシの種子です。縦縞のみです。

オニノゲシの種子

こちらは問題の株の種子です。縦縞に細かい横縞が入る、ノゲシの種子の特徴が出ています。

ノゲシの特徴が出ている種子

アイノゲシは雑種なのでうまく実らないのも特徴なのですが、残念ながらこの株はしっかり実った種子がほとんどでした。
どんな花でも時期はずれに咲く株は、典型的な特徴ではないものが多く見られます。今回もそんな株にちょっと騙されてしまったようです。

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