博物館で飼育しているカイコは、5齢になっています。担当者が数日留守にしたので、その間ちょっと展示をお休みして、カイコも低温の場所で静かに眠っていてもらいました。昨日(6月28日)から給桑、展示を再開しました。
さて、5齢になると、食べるクワの量が格段に多くなります。博物館で飼育している約200頭のカイコのエサをまかなうには、一日数回、枝ごといくつも採ってこないととても追いつきません。
調査や出張授業などで外へ出た時は、頭の中の「クワマップ」を頼りに寄り道をして、道端に伸びているクワを採ってきます。昨日もそんなクワポイントに寄ると・・
見事に瑞々しい葉がたくさんついていたのですが・・よく見ると左右で色合いが微妙に異なります。じつはこれ、右側の明るい黄緑がクワなのですが、左のやや暗い色はクワではありません。ヒメコウゾという、クワ科の近縁種なのです。下の写真は、上側がヒメコウゾで、下側がクワです。そっくりな葉です。
どちらも葉の形は多型で、一慨に特徴を分けられません。あえて言えば枝の色が、ヒメコウゾは赤紫っぽいのに対して・・
クワは緑(1年枝)か、ベージュ色(2年以降の枝)です。
果実はまったく見ためが異なるのですが、今の季節はすっかり落ちてなくなっています。
カイコにヒメコウゾの葉をあげると、少し食べます。はじめからヒメコウゾをあげていると、ある程度食べて育つのですが、クワで育てるのに比べると、とても成長が悪くなります。
結局、葉の質感や微妙な色合いの違いで私たちは見分けているのですが、「カイコのために」と思ってクワを探していると、なぜか識別はまったく難しくないのが不思議ですね。