博物館で飼育しているカイコは、7割くらいが熟蚕となり、蔟(まぶし)へ移動中です。昨日から作り始めたものの一部を相模原市立博物館特製の透明まぶしに入れて、展示しています。
バックライトを当てて、幻想的な繭づくりのようすを見られるようにしています。繭が透明に見えるのは作り始めて1日目までなので、今日明日くらいしか見られない光景です!
さて、この透明まぶしは、直径5センチ程度の小さめのフタ付き食品パックを用いています。
しかし、ただ熟蚕を入れるだけではちょっと失敗してしまいます。というのも、カイコは1生のうち2回だけ尿を出します。この1回目が、熟蚕になって繭を作り始めたところで出します。これが食品パックの中にたまると、繭に染みてしまいますし、場合によって尿に溺れてカイコが死んでしまいます。そこで、底に穴をあけるのですが・・
上の写真のように、千枚通しなどで必ず容器の内側からあけます。そうしないと(外側からあけると)、穴に小さな土手のようなものができてしまうため、うまく尿が排出されないのです。
このようにして5、6個の穴をあけたら、熟蚕を入れてフタをしめ、吸水のよいキッチンペーパーなどの上に置きます。
こうするときれいな繭づくりのようすを見ることができますし、穴が空気穴の役割をしてくれます。
そして、もう一つ大事なことがあります。繭を作り始めて3日くらい経ったところで、フタをあけて風通しのよいところへ置きます。容器の内部にまだ少し湿り気があるためです。
この方法は、容器表面がつるつるでカイコが足場をつくれないことがあり、そうすると中でうまく糸を吐けずにしんでしまう危険もあります。あくまでも展示や観察のためのものなので、安全な蔟はやはり、紙を筒状にまるめたものや、格子状に組んだものが無難でしょう。