連日の猛暑も、樹林内は温湿度の調節機能があるため野生生物にとってそれほど大きなダメージはありません。もちろん、人間には快適とは言えない環境なのですが、動物にしろ植物にしろ、元気いっぱいな印象です。
そんな森の中の一画で、とろりと甘い香りが漂っていました。
クサギの開花です。この木は季節ごとに様々なトピックを提供してくれるので、自然観察のネタの宝庫といえますが、真夏は、この花の香りです。
ジャスミンの花に似た甘い香りで、個人的にはあまり好きではないのですが、ジャスミンと比べて薄く漂う程度なので許容できます。ちなみに、クサギ(あえて漢字をあてれば臭木)の名の由来は花ではなく、おそらく葉の方です。葉を指でもむと、ピーナッツバターをきつくしたような香りがあります。人によってはカメムシ臭とも表現されますが、好き嫌いがわりと分かれます。
そして、もう一つのトピックは果実です。晩秋に実る果実はこんな色合いです。
白い花から一転、萼片をわざわざ赤く染めた上で黒紫色の果実を実らせます。これは明らかに、熟したよ!という鳥への自己主張でしょう。
猛暑の中でも、夏至を過ぎた自然界はもう秋へと歩みを進めています。これからまた少しずつ、夏から秋の植物が開花していきます。