9月7日(金)、市立環境情報センターで、自然環境観察員制度登録者向けの環境セミナーが行われました。この制度は立ち上げ当初から博物館が関わり、市民による自然調べの調査設計や結果の検討なども一緒に行っています。観察員による今年の全体調査の対象は、アメリカオニアザミです。
近年、急激に分布を広げつつある大型の外来アザミです。株全体も大きいのですが、何より全草に見られるトゲの大きさが最大の特徴です。下の写真は、在来種で秋に咲くノハラアザミです。このアザミも十分トゲトゲなのですが、アメリカオニアザミに比べるとかわいらしく見えます。
この時期はすでに花が終わってタネを飛ばしているものが多いのですが、枯れてもこのトゲ!
1株から生産されるタネを見ると、この外来植物の繁殖力の強さがうかがわれます。
ただし、種子の数で言えばアメリカオニアザミが特別多いというわけではありません。“雑草”と呼ばれる植物から絶滅危惧種の野生ランまで、種子の量は人間が簡単に数えられるレベルの量ではないくらい多いのです。ではなぜアメリカオニアザミがこれほど急速に分布を広げているのでしょうか?
それはおそらく、乾燥に強いこと(路傍のわずかな土壌で生育できる)と、目立つ大きさにまで成長すると、うかつに手が出せないほどの強く大きなトゲに覆われることが理由でしょう。
相模原市では新顔の外来植物ですが、すでに環境省の特定外来生物法による「要注意外来生物」に指定されています。今回の調査の結果によっては、公共施設や事業所などへ注意喚起を行うなど、対策が必要になるかもしれません。
自然環境観察員制度の全体調査は今月いっぱいを調査期間としています。できるだけ多くの方に参加していただき、市域の分布状況を把握したいと考えています。まだ登録可能です。ご興味のある方は環境情報センターのホームページから登録できますので、ぜひご参加ください。