考古分野の博物館実習2018(完)

考古分野の博物館実習が全日程を終了しました!当館では専門分野別の実習は6日間あり、大学で考古学を専攻している実習生3名には、直接考古資料を扱った実習を受けてもらいました。

①市民協働に関する実習として、ボランティアグループ「相模原縄文研究会」と考古資料を学校教育に活用できないか、学習支援プログラム作成の検討

②相模原縄文研究会と日頃行っている大日野原(おびのっぱら)遺跡の縄文土器の整理作業

③鉄製品のサビによる劣化防止のための保管方法による処置

④縄文土器と石器の写真撮影

⑤考古資料の収蔵管理のための出土品再整理作業

⑥展示の企画検討と展示候補の資料調査

⑦展示作業

縄文土器の写真撮影実習

後半の3日間は、実習生自ら初めて行う展示です。まずは何を展示するのか、どう展示するのか、コンセプトは何かを3人で話し合って作っていきます。今年のテーマは「勝坂式土器の多様性」。そして展示準備がスタートしていきます。

①発掘調査報告書から勝坂式土器の資料候補を調べてリスト化

②収蔵データベースから候補資料の収蔵場所を確認

③収蔵庫から候補資料を取り出して資料の事前調査

④展示資料の絞り込み

⑤展示品、パネルの展示ケースのレイアウト検討

⑥パネル作成のための土器細部の写真撮影とデータの加工処理

⑦パネル・キャプション原稿作成、紙への打ち出し、のりパネルによる作成

⑧展示ケース内のパネル設置

⑨展示資料の搬入と展示台を用いた列品作業

⑩展示資料(土器)のテグスを使った固定

⑪キャプションの配置

パネル作成(切り方にもコツがある)

パネル設置(展示資料とのレイアウトも考えて)

列品作業(見せ方に現場合わせで微調整)

テグスで土器を固定(展示資料をしっかり守る)

もちろん、実習生が進めていく過程で、担当学芸員としてアドバイスや、さまざまな技術指導をおり混ぜ、展示開始に間に合うよう進行管理させてもらいました。

展示はというと、一つの展示ケースではありますが、3部構成によって勝坂式土器の多様性を来館者に伝える内容になっていて、展示方法にも随所に実習生の工夫があります。この実習生展は考古・歴史・民俗・地質・生物・天文の6分野からなり、10月21日まで特別展示室にて開催しています。次代を担う“学芸員のタマゴ”の展示に、多くの方のご来館をお待ちしています。

博物館実習生展はじまる!

実習生には博物館実習を通して、実際の学芸員としての業務や必要な知識・技術などが多岐にわたることを、身をもって体験してもらいました。

考古分野の実習生の皆さん、がんばりましたね。本当にお疲れ様でした。

考古の実習生と勝坂式土器の展示

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