ジョロウグモのシーズン

秋分の日も過ぎ、いよいよ秋を感じ始めているこの頃、ひときわ目立っているクモがいます。
ジョロウグモです。

黄色い腹部に赤い斑、黄色と黒の脚も含めると5センチ以上はありそうな大きさに、大きな網。夏の盛りならともかく、ちょっと秋の涼しさとは遠いイメージです。
5月に小さな子グモとして孵化してきたこのクモも、今は繁殖期。

メスの網にオスが侵入しています。黄色や赤の派手なのがメスで、茶色っぽい地味なのがオスです。このとき、オスは触肢(口の近くにある触覚のような付属肢)の先にある貯精嚢に精子を保持しています。
一度体外に出した精子を、触肢の先で吸い上げてから使うという特殊な方法をとるため、クモの交尾は通常「交接」と呼ばれています。

オス間には競争があり、この網には大きなオスと小さなオスが1匹ずつ入っています。
こんなふうに、複数のオスが1匹のメスにアプローチしている事は、よくあります。
小さいオスにとっては厳しい状況に見えますが、大きければ有利かというと必ずしもそうではないようで、天敵に発見されるリスクが大きいという研究もあります。

この網には、メス1匹に対し、オス5匹が入り込んでいました。残念ながら写真には3匹しか写っていませんが、数日後には3匹に減っていたので、やっぱり過密だったのかもしれません。

ここまで接近しているのに、交接に至らずじっとしているオス。もちろん、下手に動けばエサと勘違いされて、深手を負うか、最悪の場合食われてしまうことになります。

この網のオスメスは微妙な距離を保ったまま、数日間膠着状態(写真は9月24日のもの)。

と、思ったら本日9月26日、交接しているところを無事目撃しました。なんと、メスの上の方に、脱皮殻があります。もう成熟しているとばかり思っていたのですが、どうやらオスは最後の脱皮を待っていたようです。どうしてわかるのでしょう。不思議です。

オスはメスにそっと触れるようにして、体の位置を固定しています。オス触肢の先端からメスの腹部に、細い針のようなものが伸びているのがわかるでしょうか。

約3時間後、見に行きましたが、まだ継続中でした。ハードルが高い分、その後はゆっくりなのかもしれません。それにしてもこの間、どうしてメスがオスに襲いかからないのでしょうか。不思議は尽きません。

※その後、何度か様子を見に行きましたが、8時間後にようやくオスがメスから離れたのを確認できました。

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