先週12月19日に植物調査を行った緑区の小倉山で、こんなふうにまん丸の穴があいた葉をたくさん見ました。
葉の植物はキジョラン(ガガイモ科)で、市内では低山の林内でふつうに見られる植物です。それにしても、ずいぶんときれいな正円です。この特徴的な穴をあけたのは、アサギマダラというチョウの幼虫です。
モダンアートを思わせるような色合いですね。幼虫は1~3齢くらいの頃は、こうして円形にかじり痕をつけていき、その内側を食べていきます。これをトレンチ行動と呼び、なぜそのように食べるのかいくつかの説がありますが、はっきりとした理由はわかっていません。
成虫は鳥の渡りのような長距離移動をすることが知られています。
ところで、アサギマダラの食草であるキジョランの生活型は「つる性常緑草本」といいます。草本というのは冬に地上部が枯れるもの、という定義があるのですが、それに当てはまらず、常緑、つまり冬も緑の葉があります。
アサギマダラは2~3齢の幼虫で秋の遅くまで食べて越冬し、春になってまたモリモリと食べ、じゅうぶん大きくなると、成虫に羽化します。冬の間もこんなふうにいろいろな生きものがつながりあって生きていると思うと、自然観察がまた楽しくなりますね。