明るくなった林内で広がる外来種

博物館周辺のミズキ林で、この5年ほど続くキアシドクガの大発生については度々このブログでもお伝えしていますが、冬の間にその影響が見えてきたことがあります。
度重なる食害で樹勢が弱り、枯れてしまったり、台風などの強風で根元から傾いてしまったりというミズキが多く見られます。

根元から倒れかかってほかの木にもたれるミズキ

そうして林内の空間を占めていた枝葉がぽっかりと無くなった場所は、空から直接光が差し込むようになります。そうした明るい空間を、生態学の専門用語でギャップと呼びます。昨年の初夏くらいから数多くのギャップができて、それに合わせてこんな風景が出現してきました。

シャガ(アヤメ科)の若葉

これは、シャガというアヤメの仲間の外来種です。裏庭のようなちょっと暗い場所に咲く花で園芸種としてもよく知られています。この樹林に遊歩道が整備された頃、誰かが勝手に植えてしまったようです。ずっと遊歩道沿いにおとなしく咲いていたのですが、この植物は、ちょっと明るい場所ができると一気に株を増やします。ここでも一面に葉が広がって、今春はシャガ群落ができあがってしまいそうです。
そしてこちらも外来種です。

セイタカアワダチソウ

セイタカアワダチソウです。明るい草原を好む有名な外来種ですが、ふつうはこんな森の中には入ってきません。しかし、ギャップによって勢いづいて、少し茎を立ち上がらせながらはびこってきています。
外来種の勢いが増すのは決して喜ばしいことではありませんが、だからといってこれらを根こそぎ抜きとったとしても、別の外来種が入ってきたり、春に咲くフデリンドウの芽もろとも抜いてしまう危険もあったりで、それもよくありません。
自然の変化に生きものたちがどのようなリアクションをするのか、いましばらく静観してみたいと思います。

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