6月29日、昆虫の研究者が標本の閲覧に来られました。当館の動植物資料の中で一際古く、充実した標本群である「桐生亮コレクション」の中の標本が目的です。
この中から、現在は非常に希少な昆虫であるオオアオホソゴミムシの記録を確認するための標本調査でした。
神奈川県からの近年の正式な記録は皆無で、現存する古い時代の標本はきわめて貴重とのことです。
桐生亮コレクションは、1930年代から60年代を中心に採集されており、当時の相模原市の動植物相を語るうえで重要な資料です。この標本も、1940年代と60年代に現在の緑区と中央区で採集されたものです。
同じ標本箱にはこんな標本も納められています。
ゲンゴロウです。神奈川県内では絶滅種となっています。それが、1937年に中央区上溝で採集されているのですから、驚きです。
さらに、しっかり認識はしていなかったのですが、こちらのオオヒラタトックリゴミムシという昆虫も、今では非常に珍しいということを閲覧に来られた方から伺いました。
桐生亮コレクションは植物標本も充実していて、やはり現在では県内で絶滅してしまったものや、極めて希少な植物が含まれています。
私たちは過去に遡って資料を採集することができません。せめて、今あるものをしっかり標本や記録に残し、後世へ伝えることが重要だと改めて感じました。