博物館の前庭では今、ヤブランが花盛りです。
猛暑が続きますが、この花の淡い紫色と、すっと立った花序(かじょ)が風に揺れる様子は、ちょっと涼しげな空気を運んでくれます。
そのヤブランの花に群がるのは、クマバチ(キムネクマバチ)です。
ざっと数えただけでも、10匹以上が一心不乱に蜜を求めて飛び回っていました。羽音も豪快で、まさに「ぶんぶんぶん」と飛んでいます。この音を聞くと、歌劇『サルタン皇帝』(リムスキー・コルサコフ作曲)の中の楽曲、「熊蜂の飛行」を思い出します。独奏曲としても編曲されていて、超絶技巧の速弾きが要求されるフレーズから、様々な楽器の“腕試し曲”としても有名です。ただし、ロシア語の原題はマルハナバチを指す単語なので、熊蜂は邦題を付ける時に、日本人がイメージしやすいように意図的に変えたのでしょう。でも、クマバチの羽音の迫力の方が、やはりこの曲に合っていると思えてなりません。
お天気が良ければクマバチもたくさん飛んでいるはずですので、羽音をぜひお楽しみ下さい。このハチはメスのみ毒針を持っていますが、とても温厚な性格です。捕まえたりしない限り、人間に攻撃的になることはありませんので、近づいても安心です。
ただし、ミツバチをはじめ、ほかにもいろいろな昆虫が集まっていますので、ヤブランの群落の中にむやみに足を踏み入れたりしないよう、お気を付け下さい。
ヤブランは花期が長い花なので、見ごろはしばらく続きます。