博物館中庭の植栽には、エゴマが生えています。2年前に植えた後は自然に種を落とし、4月下旬に芽を出します。今のエゴマは3代目です。今年も膝下ぐらいまで伸びてきました。
津久井城の発掘調査をいっしょに行っているボランティア「津久井城市民調査グループ」の講習会を先日行いました。タイトルは「エゴマ学 ~植物×民俗×歴史×考古×自然科学~」。エゴマについて学んだ後、昨年皆さんと収穫したエゴマを使って、試しに搾油体験を行いました。
まずはエゴマの実をフライパンに入れて、5分ほど炒ります。途中、パチパチと音が鳴って、ゴマのようないい香りが漂ってきます。
炒り終わったら、ミル(ミキサー)で粉砕します。昔はすり鉢を使ったのでしょう。これに水を10%程加えて練り込みます。
ネットに移して、レンジで1分ほど温めます。民俗例だとセイロで蒸したりしますが、ここも時短で。
温まった後は手早く搾油します。搾油器は木枠と竹の容器、落とし蓋、ジャッキで作った簡易な物。下に穴を空けた竹筒に温まったエゴマをネットごと入れ、ジャッキで圧搾。
重さだと実から10%ぐらい搾油できました。エゴマ油は黄色っぽい色です。
ここからが本当の目的です。津久井城跡の発掘調査で、素焼きの土器(かわらけ)を使った灯明皿が出土しています。この灯明用にエゴマ油が利用されていた可能性が高いのです。
皆さんで搾ったエゴマ油を市販のかわらけに小さじ1杯注ぎ、麻ひもを灯心(とうしん)にして一度浸し、火をつけると、
見事に灯り、拍手が湧きました。やわらかい灯火は20分ほど続きました。
今後、ボランティアの皆さんとエゴマ油を製油して、かわらけの灯明実験を行い、考古資料である灯明皿の使用頻度などが検討できればと思います。