博物館で系統保存のために栽培中の絶滅危惧植物カワラノギクには、アメリカネナシカズラという外来のつる性寄生植物がとりついています。絶滅危惧種とは正反対の属性を持つそんなものをなぜ生やしているのかと言うと、アメリカネナシカズラはヒルガオ科で分類が少し難しく、開花、結実させて写真を撮っておきたいと考えたからです。
ただ、繁殖力の旺盛な寄生植物なので、ちょっと油断しているとあっという間に、こんな状態になります。
カワラノギクの栽培株全体にひろがらないように、ブチブチとアメリカネナシカズラの茎を切るのですが、1週間も放っておくとすぐに隣の栽培株へ取り付いてしまいます。何しろ、こんなふうにカワラノギクの茎や葉へ寄生根と食い込ませて栄養を吸い取るからです。
アメリカネナシカズラのつるを剥がしてみると、こんな感じです。
そして、9月5日、株の中心付近で開花していました。
花を拡大すると、やはりヒルガオ科らしく花は一応、ラッパ状です。
寄生植物ということで自分で光合成をしないため、緑色の部分が一切ありません。
この植物が河原などで大繁殖しているさまは、まるでラーメンをぶちまけたよう、と表現されます。
栽培植物にとっては迷惑でしかない存在ですが、分類や生態を調べてみると、どうしても「おもしろい」植物だと思ってしまうのです。