相模川中流部を代表する絶滅危惧植物であるカワラノギク(絶滅危惧1B類)は、市内でも2カ所に大規模な保全圃場があります。先月の台風19号の増水により、多くの圃場が冠水(かんすい:増水した水をかぶること)しました。11月13日、その一つである緑区大島の圃場の状況を調査しました。
博物館が管理している圃場は写真のとおり、草本植物はすべてきれいさっぱり流失していました。
下の写真は昨年7月に撮影したものです。カワラノギク以外の外来植物なども茂ってしまっていますが、カワラノギクが数十株生育していました。
ただ、カワラノギクはもともと、数年おきに冠水するような河原に生育する植物です。新たに運ばれて堆積した砂礫には栄養分も多いので、来年、博物館で栽培している保存株の種子を蒔けば、元気に生育してくれるはずです。競争相手となるほかの植物の除去のためにも、こうした冠水は必要なのです。
少し下流側の、桂川・相模川流域協議会が管理している圃場は冠水が少なかったようで、残ったカワラノギクが元気に咲いていました。
ただ、運ばれてきた砂が堆積していました。大きな丸石がごろごろしている場所が生育適地となるカワラノギクにとって、この砂は競争相手となる他の植物が元気に育ってしまうので、ちょっと困った存在です。
調査をしていたら、ひさしぶりの鳥の声を聞きました。冬鳥のツグミです。
渡ってきたばかりのようで、10数羽の群れで移動していました。
カワラノギクのそばに、カワラナデシコも1輪だけ咲いていました。
ちょっと気になったのは、河原にたくさんのイノシシの足跡があったことです。
先日も市内の相模川左岸(東岸)沿いで目撃情報があり、増水がきっかけになったのか、流路の形が変わって対岸から渡りやすくなったのか。掘り返し跡もいくつかあり、いついてしまうのかどうか、少し心配です。